育児支援について(一般質問より)

2016年7月2日 22時50分 | カテゴリー: 活動報告

6月議会が終了しました。
今回は、「育児支援について」と題し、主に子どもの虐待予防についての施策の質問と提案を行いました。

以下、質問と答弁です。

  1. Sterting strong

神奈川県は5月31日、県所管の児童相談所において2015年度に受け付けた児童虐待の相談件数を発表しました。2014年度比428件増の3135件。児童虐待防止法の下で統計を取り始めた2000年度以降最多。この4年連続で最多更新となっているということです。相談件数の数字は、通報者の認識の高まりや虐待の定義の仕方などで変化するものではありますが、その件数の多さは重大であり、虐待予防は、育児支援において最重要課題の一つといえます。
阪神・淡路大震災後、日本でもPTSD(外傷後ストレス障害)が認知されるようになりましたが、幼少時の虐待もその原因の一つです。重症な被虐待児の治療を行っている精神科医の杉山登志郎氏によると、子ども虐待の影響は、精神障害という形で多く現れるといいます。甘えたいのに素直に甘えられない、あるいは初めて会う人にも極度に馴れ馴れしいなどの「反応性愛着障害」を示す子どもは被虐待児5歳以下の76%。小学生時代には、およそ8割に「多動性行動障害」が認められ、思春期に向けて、8割の子どもが、自分が自分であるという感覚が欠如する「解離性障害」を発する。その後、何の対策もなされない場合には、「複雑性PTSD」、すなわち、解離が日常化し、感情のコントロールや衝動コントロールが非常に困難になり、重度の抑うつ、自殺未遂、様々な依存症、多重人格などの症状を特徴とするきわめて重症の精神障害となる、というのです。
また、トラウマの世界的権威であるヴァン・デア・コルク氏は、虐待によって生じる行動面や精神面などの特徴をまとめたものとして「発達性トラウマ症候群」という概念を提唱しています。
幼少期の虐待によって、脳が傷つく。その傷は深く、精神障害とまではいえないまでも「自己を肯定できない」など、影響はその子が大人になっても続きます。
社会的観点からみますと、学校期のケアや成人してからの精神障害手当、働けない場合の生活保護や子どもを授かった場合の虐待の連鎖など、対策の遅れはそのまま社会保障制度の重荷となります。その予防のためには、乳幼児期の予防が何より重要と考えます。
OECD(経済協力開発機構)のアンヘル・グリア事務局長はフランス・パリでのスピーチで、「雇用と就職能力を促進し、格差を是正するには、人的資本への投資が不可欠である。人的投資は幼児期に始め、正規の教育と労働へと継続して実施されなければならない」と強調しました。OECD保育白書は、Starting strongと題し、加盟国の乳幼児期に関わる課題と取り組みを紹介しています。初期の教育と福祉は、世界でも重要であると捉えられているのです。
また、子どもの貧困問題を研究している首都大学東京教授、阿部彩氏は、その著書「子どもの貧困」の中で、「乳幼児期の貧困が、ほかの年齢の子ども期の貧困よりも、一番将来の子どもの成長に影響がある」という研究を紹介しています。
Starting strong「人生の始まりこそ力強く」。その考え方を育児政策すべてに対して導入するべき時が来ているのではないでしょうか。
質問します。

・子どもの将来にわたる問題発生を未然に防ぎ、保護者による虐待を予防するには、乳幼児期の育児支援こそ重要であると考えますが、市長のお考えを聞かせてください。

(市長答弁)

全国的に児童虐待に関する相談件数は増加が続いており、痛ましい事件をマスコミ報道等で目にするたびに、言葉にならない思いを感じております。議員御指摘の乳幼児期の虐待が脳に与える影響については、科学的にも研究が進んでいるところであり、さらに年齢が低ければ低いほど、虐待が命の危機に及ぶおそれも高くなると言われております。そのことからも、日ごろから早期発見、早期対応を心がけ、乳幼児期の子供の養育状況に心配がある御家庭の情報があったときは、頻繁に訪問などを行い、危険度が高いと判断される場合には、速やかに児童相談所と連携して一時保護等を行うなど、子供の安全を第一に考えて対応しております。

私も昔、校医をやっていたときに、口腔内を見ると、本当に小さなお子さんではありませんが、虐待と思われるものが口腔内に地層のように残っているわけですね。ですので、クラスの中、あるいは学年に1人、あるいはぽつんと2人、そういうケースが見られて、校長先生にそれを述べさせていただいて、注意したほうがいいですよ、虐待を受けている可能性がありますよということを述べたことがありますけれども、今、議員の質問を聞きながら、ふと思い出したところであります。

児童虐待の問題は、社会全体で取り組むべき課題であり、子供の命と人権、そして、その未来を守るため、今後も虐待の防止に向けて積極的に取り組んでまいります。

2.大和市の現状

その意味では、こんにちは赤ちゃん訪問事業が日本において導入されたことは、重要な一歩です。この事業は、平成19年全戸訪問が法制化され、本市では平成20年から新生児への全戸訪問を行っています。必ず赤ちゃんの顔を見、育児状況を確認するまで昼夜を問わず何度でも訪問するという担当者のご努力を高く評価するものです。
その後は、4ヶ月児健診、8ヶ月児健診、1歳6ヶ月児健診、3歳6ヶ月児健診と続く中でスクリー二ングを行い、自閉症などの発達障害が疑われる子どもは、療育機関につなげており、未受診の場合は、家庭を訪問し、問題がないかどうか確認しているとのことです。赤ちゃん訪問が効力を発し、全国的に虐待による死亡事例は減少していると聞いております。しかし、虐待件数は年々、増加傾向にあります。
大和市要保護児童対策地域協議会では、市の子ども関係機関に加え、市立病院、保育所、小中学校、子育て支援センター、ファミリーサポートセンター、保健福祉事務所、児童相談所、警察、民生委員、人権擁護委員、認可保育所、幼稚園など子どもに関わりのあるほとんどすべての関係者が要保護児童について協議しています。
現状を確認するため、質問いたします。

① 赤ちゃん訪問では、どのような家庭を家庭相談員につないでいるのでしょうか。

(こども部長答弁)
おおむね生後4カ月までの赤ちゃんがいる御家庭を保健師などが訪問する、こんにちは赤ちゃん訪問事業では、乳児の発育と発達に加え、母親の心身の状況も確認しております。そのような中で、母親が精神的に不安定であったり、持病を抱えたりして子育てがつらくなっている場合や、足の踏み場もないような不適切な環境で養育している場合など、支援が必要な家庭については、幅広く家庭相談員につなげ、連携し、対応しております。

 

② 大和市要保護児童対策地域協議会で取り上げられる児童には、どのような傾向があるのでしょうか。平成27年度で取り上げられた要保護児童の人数、および種別をお教えください。

(こども部長答弁)
平成27年虐待報告人数 184人  平成26年に比べて36人減 16.4%減
内容 身体的虐待 44人、心理的虐待 48人、ネグレクト 92人
母子家庭、経済的困窮、保護者の精神疾患といった要素が絡み合った養育能力の不足によるネグレクトが多い状況

3.養育支援訪問事業について

現在、こんにちは赤ちゃん訪問などで支援が必要であると判断した家庭にはその後、家庭相談員が定期的に訪問し、様子を確認しつつ、相談にのっています。虐待予防に「相談」は、もちろん重要なものです。子育ての悩みや愚痴を誰かに聞いてもらうだけでも不安定なお母さんの心は落ち着くでしょう。話すことは虐待予防への重要な一歩です。ただ、家庭相談員という専門家だけではなく、子どもや家事の支援員による目で見て初めて発見される重篤な事例もあるはずです。しかも、子育て初期である乳幼児期に接することが何より効力を発します。例えば5歳ぐらいの幼児が、親の都合その他の理由により保育園や幼稚園に通っておらず、引きこもりの状態にあり、小学校登校に支障がありそうになってはじめてヘルパー支援を行っても、子どもはすぐにはヘルパーに打ち解けません。子育ての最初期から断片的にではあっても係わりを持つことにより、親も子も心を開くことが可能になります。虐待相談の数からみて、支援が必要な家庭は相当数あると考えられますが、実際は家庭相談員の「相談」で終わっている家庭が多く、ほとんどの家庭にはヘルパー派遣が行われていないのが現状です。
質問いたします。

① 平成23年度から27年度の虐待相談世帯数と養育支援訪問事業ヘルパー派遣世帯数をお教えください。

(こども部長答弁)
平成24年度    173件        15世帯
平成26年度    251件         4世帯
平成27年度    231件         7世帯
平成25年度    246件        12世帯
平成23年度 相談 159件 ヘルパー派遣 21世帯

② 養育支援事業でヘルパー派遣をする家庭には、どんな基準があるのでしょうか。

(こども部長答弁)
本事業は、国のガイドラインに基づき定めた大和市養育支援訪問事業実施要綱により実施しており、産後鬱病や育児ノイローゼなどによって保護者自身も日常生活に支障を来すような状況で、養育の不安や虐待のおそれがあるなど、特に支援を要する家庭を派遣の対象としております。

4.一時預かりについて

平成25年に市が行ったニーズ調査の結果では、子育てをしている市内の母親のうち、就労せず子育てに専念している割合は、59.6%と過半数以上に上っています。子育て中の専業主婦なら誰でも一度は経験することであると思いますが、家の中で小さな子どものみと関わっていると、社会に取り残されたような気になり、この状態がいつまでも続くように思え、自分の時間が子どもに奪われてしまっている気になるものです。レスパイトのために子どもを預かってもらいたいと思っても頼れる人が近くにいない方も約12%。中には就業していないのに子どもを預けることに罪悪感を持つ方もおられます。ファミリーサポートセンターは気軽に頼める制度ですが、1時間720円の金額では、長時間の預かりとなると費用がかさんでしまいます。
それに対し、保育園の一時預かり事業のうち、緊急的保育は、公立の場合3歳児未満で1時間360円、3歳児以上で1時間210円と低料金で子どもを預けることが可能です。
一時預かりに力を入れている保育園では、預かりを行う中で問題のある家庭を多く発見し、行政につなぐこともあるようです。
教育社会学者の舞田敏彦氏が作成したデータによると、乳幼児の保育所在所率と虐待相談率は、相関関係があります。保育所に入れている乳幼児が多い県ほど、虐待相談が少ない。これはすなわち、子どもと離れている時間が長いほど育児ストレスが少ないことを表しています。煮詰まっている保護者にしてみれば、ほんの数時間、子どもと離れているだけで、気持ちをリフレッシュすることが可能です。また、子どもは保護者だけではないさまざまな心と手が関わることにより、心身ともに健康な成長が望めます。
家庭相談員が関わっている保護者にも、低料金でレスパイトできる制度を紹介すれば、その間、保護者は子どもと離れて自分を見直すことが可能です。また、もし深刻な問題がその家庭に潜んでおり、より手厚い支援が必要だと判断されれば、現在の養育支援訪問事業につなぐこともできるはずです。より密度の高い継続的なかかわりの中で初めて発見される問題も多いはずです。
質問します。

① 市のHPによると、一時預かり事業のうち、緊急的保育に預けることができるのは、保護者の疾病、死亡、失踪、入院、通院、出産、家族等の看護や介護、仕事、冠婚葬祭などで保育をできない場合 等… となっていますが、子育てがつらい、休みがほしいなどの理由で預かることは可能なのでしょうか。

(こども部長答弁)
市のホームページ上では、緊急的保育を利用する場合の代表的な事例を掲載しており、育児疲れの場合なども含めて御利用いただける制度となっております。今後は、育児相談などを通じて必要があると思われる方にも利用を進めていくとともに、よりわかりやすく周知をしてまいります。

 

② 緊急的保育は、現在全認可保育所で実施しているとのことですが、平成27年度版の「保健と福祉」によりますと、平成26年の実績は、公立4園は、延べ預り人数569人の内、1園501人、後の3園は40人以下。私立20園は、延べ預かり人数2173人の内、894人が1園、338人が1園、100人以上200人未満が4園、50人以上100人未満が3園、10人以上50人未満が4園、1人が1園、0人が6園となっています。平成27年度は、子ども子育て新制度に伴い、一時預かり事業に補助金がつけられ、本市も力を入れたはずですが、その結果である平成27年度の保育園における預り人数をお聞かせください。

(こども部長答弁)
平成27年度における利用実績は、38施設の認可保育所などのうち27施設で緊急的保育を実施し、延べ2249人の方が利用しており、前年度と比較すると9施設、76人の増加となっています。

③ 公立保育園でも平成26年度は40人以下の園が3園、私立保育園では0人の園が6園ありますが、これらの園で一時保育が実施しにくい、あるいはできない理由は何でしょうか。

④ 一時保育は、保育園にとっては、人手も経費もかかる事業です。補助金をもっと上げるなど保育園がもっと積極的に導入できる体制を整えるべきであると考えますが、いかがでしょうか。

(こども部長答弁)
3つ目、緊急的保育が実施しにくい理由についてと、4つ目、緊急的保育を積極的に導入できる体制を整えるためにはとの御質問は、関連がありますので一括してお答えいたします。

緊急的保育は、全ての認可保育所と一部の小規模保育事業所で実施することとしていますが、専用の部屋と保育士を確保していない場合、入所定員に余裕が生じたときに初めて緊急的保育の利用が可能となるため、受け入れが進まないものと考えております。以上のような理由により、既存の施設が受け入れを拡充していくことは困難な状況でございますが、新たな認可保育所の整備に当たっては、一時預かり保育事業の実施を条件とし、専用の部屋を確保するように指導しているところでございます。保護者が必要とするときに児童を一時的に預けることができる環境を整備していくことは、子育て支援の一つとして大変重要であると認識していることから、今後も緊急的保育を含めた一時預かり保育などの拡充に努めてまいります。

 

5.子育て施策の創設について

神奈川県内他市では、川崎市や横浜市が虐待防止条例を作り、虐待予防に力を入れています。
例えば横浜市は、独自事業として産前産後ヘルパー派遣事業、育児支援ヘルパー派遣事業があり、有料ではありますが、誰でも利用できます。その他に「ひとり親家庭等日常生活支援事業」「養育支援派遣事業」「養育支援ヘルパー派遣事業」「里親養育援助事業」「障害者総合支援法居宅介護事業」などがあり、個々の家庭の問題点に沿って受け入れが可能となっています。
今年、横浜市瀬谷区の事業者を視察してまいりましたが、子どもを持つ家庭に支援が必要と判断した時、様々な事業のうち、どの事業を使えばその家庭にとってよりよい支援になるか考え、事業を当てはめる姿勢に感銘を受けました。
今の若い保護者はインターネットを駆使し、情報を仕入れます。例えば産前に支援がほしくとも該当する事業がない場合は、その場であきらめてしまう人もいるかもしれません。現在でも相談されれば何とかなるかもしれませんが、対象事業がないことを知った上で行政の窓口に赴く人は、決して多くはないと考えられます。行政の窓口は、市民にとってハードルの高いものです。また、行政に相談するという概念さえない方もたくさんおられます。待っていては、問題は発覚しません。
事業が増えることにより、保護者と子どもに人と触れ合う機会が増えること。また、ヘルパーが日々、少しの時間でも会い、保護者と話をし、子どもを抱く、あるいは手を引いて保育園に送る。その積み重ねにより、子どもに笑顔が増え、保護者に安堵の表情が浮かぶ。そんな家庭が増えれば、虐待はおそらく減少していきます。
また、「虐待予防」のためには、厳格な基準に則った支援よりも支援の垣根を低くし、「とりあえず支援」していく方向にかじを切ることも大切です。例えば、家庭相談員が、少しでも必要と思った時にはどの事業に該当するのか模索し、とりあえずヘルパーを入れてみる。母親がSOSしてきたときに、一時的に支援の手を差し伸べ、保護者の「精神的安定」を図る。そんな姿勢も必要であると考えます。
本市においても、多様な子育て支援施策を充実させることで支援できる家庭が増え、虐待の危険を減らすことが可能なのではないでしょうか。
質問します。

 ・育児支援をより充実させることで虐待防止につなげることが可能となります。市独自の事業を増やす検討をするべきと考えますがいかがでしょうか。

(市長答弁)
核家族化の進展や地域のつながりの希薄化により、妊婦の出産、そして、育児に対する不安や負担は増大しており、特に出産前後は精神的にも不安定になりやすい時期であることから、きめ細やかな支援体制が求められております。そのため、来年度からは、出産後すぐにファミリーサポートセンター事業を利用できるように、対象者を拡大する予定でございます。乳幼児期の子育て支援施策を充実させることは虐待予防にもつながることから、ヘルパー派遣を含め、本市の実情に合った事業手法について今後も検討してまいります。

(答弁後の提案)

虐待は、被害を受けた子どもの将来に大きな影響を及ぼします。その問題の重要性を認識しつつ、今後のさらなる支援を検討していくという姿勢に期待をいたします。またその対応策のひとつとして、保育所における一時預かりを使いやすいものにすることは、閉じこもった空間の中で孤独に子育てしている保護者に光を与えるものです。その拡充に努めたいとのご答弁、ありがとうございます。市の働きかけにより積極的に取り組む保育所が増えることに期待いたします。また、新設の保育所はスペースがあるにもかかわらず、一時預かりに積極的に取り組めないのは、一時預かりのノウハウが不足しているのも要因の一つです。積極的に取り組んできた園はかなりのノウハウを蓄積しています。これらを共有化する場が今はありません。例えば草柳保育園やさくらの森保育園等のスタッフを講師に、研修の機会や場を用意してはどうでしょうか。保護者に対して、周知を進めるとともに、救いを求めている方に対しては積極的なアピールもまた必要と考えます。ただ、受け入れる保育所にとっては人手がいるなど負担が増す事業でもあります。需要が増した場合には、補助金を上げるなど、柔軟な対応をお願いいたします。
子どもは、国にとっても市にとっても将来への希望です。乳幼児期の投資は、必ず実を結びます。虐待の問題に限らず、貧困や学力の問題においても乳幼児期の重要性を踏まえ、事業を増やし、サービスに取り組んでいくことを強く要望しまして、育児支援についての質問を終わります。