支援が必要な子どもたちとともに(3月議会一般質問より)

2017年4月3日 18時06分 | カテゴリー: 活動報告

3月の議会から。
「支援が必要な子どもたちとともに」と題し、「車いすバスケットボール」「居住地支援」「支援シート」について、一版質問を行いました。2015年12月の質問に続いて、インクルーシブ教育の推進を求めたものです。
3月20日、神奈川県が行ったインクルーシブ教育推進モデル校についての説明会に参加しました。
今年の春から学級内に障害がある生徒を受け入れる普通高校が3校誕生します。制度は整いつつあります。しかし、その歩みは遅いと言わざるを得ません。自治体レベルでできることは何か考え、提案していくその実践としての質問内容です。

以下、全文と市の答弁です。

 

昨年7月相模原市の「津久井やまゆり園」で19人の方々が犠牲になった事件は、戦後最悪の殺傷事件であるという事実とともに、私たち一人ひとりの心にある大きな闇をあぶりだした出来事であると思います。
犯人の青年は犯行に及ぶ約5か月前、衆議院議長公邸を訪れ、犯行予告とも受け取れる手紙を渡しています。その中には、家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な重複障がい者を抹殺することは「全人類のために必要不可欠である辛い決断」であり「革命的な行為」であるという言葉が書かれています。また犯行は「日本国と世界の為」「人類の為」であるとも発言しています。
これを誇大妄想に満ちた極度に偏った考え、と切り捨てることは簡単です。しかし、この事件以来、SNSの中では、犯人の発言を肯定する意見も相次ぎました。
被害者の名前を公表しない理由として警察は、遺族への配慮をあげています。身内が施設に入っていることを隠していたい家族の気持ちが全く理解できないという人は少ないでしょう。重度の障がい者を抱えながら生きていくことは今の社会では苦労が多いことを誰もが知っているからです。偏見による差別もなくなってはいません。また、社会の役に立たない人生には意味がないという考え方は、障がい者や周りの人たちだけでなく様々な理由で仕事につけない現代の若者や大人たちをも苦しめています。
もし、自分が事故や病気などで全身が動かなくなってしまったら、「死んだほうがまし」と一度でも思う人は少なくないでしょう。「働かざる者食うべからず」という言葉は、今でも日常的に人の口に上ります。
人を役に立つ、立たないと線引きする「優生思想」は、制度的に否定されています。しかし、人々の心の中でも否定されているといえるでしょうか。近年は、血液だけで検査できる出生前診断ができましたが、診断で胎児に染色体異常の陽性が出た妊婦の90%以上が現在、中絶を選んでいます。
経済優先、自己責任が折にふれ叫ばれる今の社会においては、共生社会を制度として推し進めていかなければ、人の心と社会通念は後退すると私は考えます。
事件後、神奈川県では「ともに生きる社会かながわ憲章」を発表しました。共生社会の実現を目指すことはもう決まっています。社会の制度とは、人がどう思おうと人の心がどう変わろうと実現すべきものとしてあるはずです。
制度を作り、人々の心がそれに共感していくには、子どものうちからどんな人も身近にいることが当たり前である共生社会を実現することが重要です。そのために本市も一層努力をしていくべきと考え、この一般質問を行います。

中項目1 障がい者との共生社会について

現在、大和市福祉推進委員会が大和市内の公立小中学校で行っている「車いすバスケ体験講座」は、「障害があっても生き生きと生きることができる」「すごい」と子どもたちに実感させることができる貴重な機会であると思います。
学校に車いすバスケの選手たちがやってきて、そのプレーを目の当たりにし、そして実際に体験できるアクティブラーニングの機会でもあります。
子どもたちは、「かっこいい障がい者」を目の前に、体が不自由=不便や不幸でないことを知ります。もし、将来自分の足が不自由になり、車いすに乗って移動せざるを得ない状況になったとしてもこの時のことを思い出し、絶望しなくてもいいことを学ぶかもしれません。街で不便なことをきいたり、手伝ってほしいことがあることなどを選手から直に聞くことによって、自分には何ができるかを子どもたちが学ぶ機会にもなります。

質問します。

①車いすバスケットボール体験講座の実施頻度を教えてください。

答弁:体験講座は、車いすバスケットボールの選手が講師となり、ゲームや行使への質問を通して、福祉への理解と関心を深めることを目的とし、大和市福祉推進委員会が市内の小中学校と共催で実施しています。
対象は小学校では4年生、中学校では1年生もしくは2年生の学年全員としています。また、平成28年度では小学校10校、中学校4校の合計14校で実施しており、2年間のうちに市内小中学校28校全校で講座が行えるように調整しています。

②講座の効果や反響は、どのように把握しているのでしょうか。

答弁:児童生徒からは、障がい者が特別な存在ではないことを感じ、一人の人として積極的に接していきたいなどの感想が寄せられています。また、講師の前向きな生き方に自分も前向きに生きていきたいなどの感想が寄せられています。
学校や福祉推進委員会からは、児童・生徒の感想や反応から、福祉に対する関心や理解が深まっており、今後も継続していきたいとの意見が出ていることから、市としても福祉の心の醸成に高い効果を上げているととらえております。

③今後の講座実施の方向性は、どのように把握しているのでしょうか。

答弁:社会福祉推進委員会では、平成29年度は車いすバスケットボール体験講座を平成28年度と同様に14校で実施する見込みとなっております。
平成30年度以降については、福祉推進委員会や教育委員会など関係機関と調整しながら、車いすバスケットボール体験講座を初めとする様々な手法を検討し、引き続いて福祉の心を広く啓発できるように努めてまいります。

 

子どもたちの交流では、「居住地交流」という制度があります。
特別支援学校と幼稚園、保育所、認定こども園、小・中・高等学校等との間、また、特別支援学級と通常の学級との間で行われる交流のことです。「交流及び共同学習」とも言いますが、その重要性については、文部科学省から平成20年8月に出された「交流及び共同学習ガイド」の中で、次のように書かれています。

障害のある子どもと障害のない子どもが一緒に参加する活動は、相互のふれ合いを通じて豊かな人間性をはぐくむことを目的とする交流の側面と、教科のねらいの達成を目的とする共同学習の側面があるものと考えられます。「交流及び共同学習」とは、このように両方の側面が一体としてあることをより明確に表したものです。また、この二つの側面は分かちがたいものとして捉え、推進していく必要があります。「交流及び共同学習」は、障害のある子どもの自立と社会参加を促進するとともに、社会を構成する様々な人々と共に助け合い支え合って生きていくことを学ぶ機会となり、ひいては共生社会の形成に役立つものと言えます。

というものです。
特別支援学校に通う児童生徒は、登校時間の違いやバス通学などにより、近所の子どもたちと交流する機会があまりありません。公立学校内の特別支援級に通っていれば日常の交流が可能ですが、学校が違えばおのずと交流は限られてきます。近所づきあいが希薄な現代では、隣に住む同い年の子どもが、健常者と障がい者という違いだけでお互いに知らない、ということもあり得ます。
「居住地交流」は、お互いを知る貴重な機会です。地域の学校に通う子どもたちからすれば、同じ地域に住む障害がある子どもの存在や障害、その行動の理解、接し方や援助の仕方を学ぶことができ、交流後も道などで見かけた時に、一緒に同じ時を過ごした子ども同士として自然なかかわりを持つきっかけにもなります。

居住地交流について伺います。

④特別支援学校と市立小中学校の居住地交流は、どのように行っているのでしょうか。

答弁:居住地交流
特別支援学校の在籍児童生徒においては、卒業後生活基盤となる地域での社会参加のきっかけづくりとして、また地域小中学校の在籍児童生徒にとっては、共に助け合い支えあって生きていくことの大切さを学ぶ機会として実施しています。
今年度は県立特別支援学校在籍児童生徒のうち、20人がのべ46回行いました。(大和市在住特別支援学校在籍生徒 53人)
交流内容:通常の学級や特別支援学級での授業交流、給食時間交流、学校常時への参加など、児童生徒の実態と受け入れる交流校の実情に合わせ行っています。
子どもたちが互いの良さや多様性を認め合うことで豊かな人間性が育まれ、地域とのつながりを深めることで、将来の生活がより充実していくと考えており、今後も特別支援学校と密接に連携し、交流を進めてまいります。

 

中項目2 支援を必要とする生徒について

2016年5月、発達障害者支援法が改正されました。改正のポイントは、

1. 発達障害者の支援は「社会的障壁」を除去するために行う
2. 乳幼児期から高齢期まで切れ目のない支援。教育・福祉・医療・労働などが緊密に連携
3. 司法手続きで意思疎通の手段を確保
4. 国及び都道府県は就労の定着を支援
5. 教育現場において個別支援企画、指導計画の作成を推進
6. 支援センターの増設
7. 都道府県及び政令市に関係機関による協議会を設置

というものです。

文部科学省は、2012年2月から3月にかけて、「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」を行いました。
調査結果によると、知的に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒は、通常の学級に在籍する児童生徒の6.5%に上ります。ひとクラスに2人から3人いるという計算になります。その6.5%のうち、
現在および過去に支援がなされていない者は38.6%。
通級による指導を受けていない者 93.3%。
個別の特別支援計画を作成していない者 88.2%。
個別の指導計画を作成していない者 85.6%

という結果が出ています。
改正発達障害者支援法では、教育現場において個別支援企画、指導計画の作成を推進するよう求めています。しかし、文科省の調査結果から分かるように、通常学級に在籍する生徒に個別の支援計画や指導計画はあまり作成されていないのが現状です。
また、本年1月に総務省から出された「発達障害者支援に関する行政評価・監視」の結果に基づく勧告には、現在の学校等での進学先への情報の引継ぎの重要性への認識不足、および不確実な引継ぎがあることが示されています。
次のような指摘です。

・市町村において、乳幼児健診の結果について、保育所等から情報提供の依頼があった 場合のみ引き継ぐなど、積極的に引き継ぐ意識が十分でない例あり(15/31市町村)
・保育所・幼稚園から大学・就労先までの情報の引継状況をみると、中学・高校間及び高校・大学間で引継ぎの未実施あり(20/40校)。また、支援計画の引継ぎ率をみても、 中学・高校間及び高校・大学間で特に低い。支援計画の引継率:保育所34.8%、幼稚園46.7%、小学校79.1%、中学校14.7%、高校6.4%
・引継ぎは行っているが、口頭のみで引継ぎを行っているため、情報が正確に伝わらない、担当者の異動により情報が散逸するおそれがあるなどの意見あり
・ 適切な引継ぎがなされず、支援が途切れたものの中には、二次障害に発展するなど対応が困難となった例あり

以上です。

高校に勤務しているスクールカウンセラーの方から伺った話によりますと、普通高校に入ってから高校生活に困難さが生じている事例は多く、中には発達障害がその原因と考えられる生徒もいるということです。特別支援学級がない普通高校の先生たちは、障がい等に関する知識も少なく、対応のノウハウもあまり持っていないと考えられます。
高校生活の中で困難が生じた時、中学校時代の様子を知ろうにも中学からの引継ぎ事項が少ない現状では、蓄積された情報に基づく適切な指導は困難です。
特別支援学級やことばの教室に通っている児童生徒やその保護者の中には、相談支援ファイル「かけはし」を活用し、情報の蓄積に基づいた継続した支援が可能な方たちがおられます。しかし、通常の学級に在籍している児童生徒の中で、「かけはし」を使っている人は非常に少ないのが現状です。

神奈川県教育委員会は、支援を必要とする児童生徒に向けた「個別の支援計画」作成に当たり、「支援シート」を作成、活用することを推進しています。
「支援シート」には2種類あり、保育所や療育センター、学校など所属機関の連携による支援を記入する支援シートⅠと教育、保健、医療、福祉等の関連機関の連携による支援を記入する支援シートⅡに分かれます。
その活用によって考えられる利点は、
①情報を関係機関が共有することが可能となる。
②関係機関が積み上げてきた療育・指導を引き継ぐことによって、継続した支援が可能になる。
③教育、保健、医療、福祉、労働の支援を合わせて検討することにより、関係機関の連携による共通理解のもと、子どもの支援に当たることができる。
などがあげられます。

支援シートの活用は、本人と保護者の希望があった時に限られます。障害があっても通常の学級に通う児童生徒の保護者の中には、支援シートの必要を感じない方もおられると思いますが、中には積極的に我が子の障害を保護者懇談会などでアピールし、他の子どもの保護者に対し、日ごろの言動の理解を求める方もいらっしゃいます。このような方には高校等への進学後、日常生活の支援に少しでも役立つこのシートの存在と活用を知らせていくことが重要ではないかと思います。

質問します。

①市立中学校において、高校へ進学する際の「支援シート」の作成状況について伺います。

②発達障害者支援法が改正され、「個別の教育支援計画の作成及び個別の指導に関する計画の作成」が推進されることになりました。未だ支援体制が十分ではない普通高校に進学する生徒は、高校生活が困難になると予想されます。必要と思われると判断した生徒に対して、保護者の同意を得て高校入学時に渡すことのできる「支援シート」作成の推進について伺います。

①②一括答弁

・支援シートは高等学校への進学後も生徒に対する一貫した支援を行うため、希望する生徒の保護者を中学校の教員がこれまでの支援内容や様子について一緒に作成し、高校に提出するものです。
・平成27年度、進学時に支援シートを作成した通常の学級在籍生徒は6名おりました。
・今後も校長会等を通して必要とする保護者へ適切な情報が伝わるよう努めてまいります。

 

答弁後の要望

2月8日、神奈川ネット市議団で新潟県の十日町市立十日町小学校とふれあいの丘支援学校を視察しました。
一つの玄関を入ると左に市立小学校、右に支援学校の初中等部という二つの学校がひとつの校舎に併設されている学校です。私はこの学校を昨年の国立教育政策研究所の講演会で知りましたが、そこでは「夢の学校」と紹介されていました。
2002年、市立小学校の中に県立養護学校の分校が出来ました。校舎建て替えの時期が来た時、地域の人々や保護者は、子どもたちが共に学ぶ環境をこれからも与え続けたいと願い、市に陳情するなどの行動を起こしました。市側もそれを受け入れ、支援学校を十日町市立とし、一つの校舎に二つの学校を併設した夢の学校が出来上がったのです。
玄関を入ると広いホールがあり、そこを中心に両校の児童生徒は自由に行き来することが可能です。行事はすべて共同で行い、体育館、プール、校庭なども共同で使用しています。子どもたちは、入学時から日常の交流を行なっていますが、市立小学校側では特に4年生の総合の授業で交流の時間を取っており、高学年になったときに低学年の子どもたちに対応の仕方を示すことができるよう学んでいます。支援学校には中等部があるため、中等部の生徒が市立小学校の児童に家庭科など実技の指導を行うなどの交流もあるとのことです。
子どもたちは日常の交流の中で、「健常者」「障がい者」の枠を超えた友達としての付き合い方を自然に学ぶことが可能です。案内してくださった両学校の教頭先生からは、自分たちの学校を素晴らしく、誇りあるものと心から思っておられることが伝わってきました。
十日町小学校の形態を本市の小学校に導入することは、すぐにできる話ではないかもしれません。しかし、その良いところを少しずつ取り入れていくことはできるはずです。校長先生のお話によると昨年、大和市からも一人の児童が十日町小学校に転校したそうです。市長、教育長、担当者は視察に行って新しい学校を見てきてはいかがでしょうか。

では、答弁後の要望等を申し上げます。

「車いすバスケットボール体験講座」は、本市では長く続く事業で、学校でも意義ある活動として受け入れられています。主に大和市福祉推進委員会への県社協からの補助金で運営されています。子どもたちからの感想でも、障がい者が特別な存在ではないことや、前向きに生きていく姿勢を学んでいることが感じられ、共生社会へ向けた学びに効果の高いものと実感されています。
ただ、効果の感じられる事業であるだけに、現在の各学校1年おきの実施では、講座を受けられる、受けられない児童生徒が生じてしまう現在の体制は、残念でもあります。今後は、車いすバスケットボール体験講座をはじめとする様々な手法を検討し、福祉の心を広く啓発できるよう努めていくとのことです。
教育委員会や学校と調整を図りながら、市の一般財源も投入することを視野に入れ、さらなる推進を望みます。

居住地交流は現在、大和市在住の特別支援学校に通う児童生徒のうち、4割弱の子どもが使っていることが分かりました。日頃はつながりの薄い子どもたちが、交流をきっかけとして、道であった時には声を掛け合うなどのつながりが持てるようになればいいと思います。
先日、特別支援学校に通う生徒の保護者の方から、「この子が大和市に住んでいないように感じる」という悲しい言葉を聞きました。障害がある人たちが、見えない存在であっては、共生社会とは程遠いといえます。
居住地交流は、特別支援学校からの申し入れを受ける形で行われます。スケジュール調整など、困難な時期もあるでしょうが、申し入れのあったときには何度でも実施できるよう、受け入れ態勢のさらなる充実を望みます。

「支援シート」については、神奈川県教育委員会が推進しているにも関わらず、本市で活用している方は、非常に少ないことが分かりました。
文科省のデータからは、通常の学級に在籍していて、特別な教育的支援が必要な生徒は、昨年度卒業生1800人のうち、117人いる計算になります。このうち、シートを使った生徒は6人だけだということになります。
これからは、校長会等を通して必要とする保護者への適切な情報の提供を促すとのことです。シートの存在を知った保護者の中には、わが子の高校生活の困難さを少しでも減らすために、シートを活用していこうと思われる方たちが多くあらわれると予想されます。情報の提供とともに、その有効性を伝えることができるよう、説明する立場の先生たちへの周知も積極的に行っていただきますよう要望いたします。