生活困窮者自立支援制度について(6月議会一般質問より)

2017年7月4日 16時14分 | カテゴリー: 活動報告

6月議会の一般質問の内容です。
生活困窮者自立支援制度が始まってから、2年が経過しました。この制度には必須事業と任意事業の分類があり、その実施選択は自治体に委ねられています。現在、大和市は必須事業しか行っていません。現状の確認と課題、任意事業の必要性を訴える質問を行いました。

 

大項目 生活困窮者自立支援制度について

中項目1 生活困窮者自立支援事業について

生活困窮者自立支援制度が始まってから2年が経過しました。この制度のついては、今までも数人の議員が取り上げておられますが、この度はこの2年の実績の確認と問題点について、言及してまいりたいと思います。

2015年4月、生活困窮者自立支援法が施行され、複合的な課題を抱える生活困窮者に対して包括的な支援を行う新たな社会制度が始まりました。生活保護に至る前の最後のセーフティネットとしての役割が期待されています。法施行の目標が「生活困窮者の自立と尊厳の確保」と「生活困窮者自立支援を通じた地域づくり」であるように、社会から孤立した人々が自らが抱える複合的な課題を解きほぐし、活動的な参加と就労によって生活を向上させ、自己肯定感を回復させる手助けをする。また、支援によって地域の活力、つながり、信頼を強めていく。そのような効果が期待される事業です。この制度の利用によって、生活保護に至らずに済むならば、扶助費の抑制にも役立つはずです。

市長質問➡本市の「生活困窮者自立支援制度」に対する考え方と受け入れ姿勢方針をお聞かせください。

(市長)

・多様で複合的な課題を課題を抱える方のための生活困窮者自立支援制度は、生活保護に至る段階での第2のセーフティネットとして創設された制度と認識している。この制度を実効性のあるものとするため、対象者を早期に発見して適切な支援を行うことが需要なので、民生委員、地域包括支援センター等と密接に連携を図るよう努めている。

 

1、相談の導入口

自治体の事業は、窓口に来てもらうまでが最大のハードルであると言えます。窓口に結びつけば、支援への手掛かりがつかめます。相談のみで困りごとが解決する方もおられるでしょうし、複合的な困難を抱える方には、ひとつひとつ解きほぐすことによって必要な支援に結びつけることが可能です。特に、「尊厳の確保」という観点から、相談者を丸ごと受け止め、誰も排除しないという考え方に立つことが、包括的な支援の出発点になります。

 

①相談件数について

相談件数は、自治体の取り組みの状況が如実に表れる数字です。地域性もあるとは思いますが、生活に困窮している方が一定以上おられる中で、件数が自治体によって開きがあるのは、取り組みに違いがあるからと考えられます。

2012年の国民生活基礎調査によると、等価可処分所得の中央値の半分に満たない相対的貧困率は、16.1%といわれています。現在の本市の人口にあてはめますと、経済的に困窮していると思われる方は、37,584人となります。本市は生活保護受給率も高く、困窮世帯の数はそれに比例し、統計よりも高めであると考えることもできます。

厚労省調査では、この制度の新規相談件数は、人口10万人に対し、全国平均で年176.4件となります。現在の本市の人口、234,900人で計算すると、414.3件となります。

質問します。

➡2015年度と2016年度の本市新規相談件数は何件でしょうか?

(健康福祉部)

平成27年度 362件 平成28年度 226件

(延べ件数 平成27年度 2164件、 平成28年度 2198件)

 

②関係機関の連携について

厚生労働省「生活困窮者自立支援の在り方等に関する論点整理のための検討会」の「論点整理」によると、実際につながった実績がある庁内関係機関が多い自治体ほど、新規相談件数が多いことが確認されています。直接、生活者困窮自立支援相談窓口に行くことがなくても、税金の相談や子どもに関する相談などで、支援するべき対象者が見えてくることが多いということです。

2015年12月の山田議員の質問に、市長は、「不動産会社から生活困窮者の情報を提供していただいている」と答えておられます。これは現在も機能しているのでしょうか。

➡相談者は窓口に、どのようにたどり着いているのでしょうか?

 本人自ら連絡の割合と、関係機関、関係者からの紹介の割合をお答えください。

・本人:平成27年度 81件 23%  平成28年度 69件 31%

 庁内、市社協:平成27年度 217件 59%  平成28年度 126件 56%

 それ以外:(最後の質問の答弁)

平成27年度 64件 18%、 平成28年 31件 14%

 ➡部、課の情報共有はどのように行っているのでしょうか。

・庁内と社協19課で構成されている生活困窮者自立支援庁内連絡会で情報共有と連携を行っている。

不動産業者など、行政以外から窓口を紹介され、相談に結びついた方の件数を教えてください。

 

③一般市民への周知

相談に結びついた人には、支援を開始することができますが、制度自体をご存じない方も多くおられると思います。日々のあわただしい生活の中で、「自分は生活困窮者なのではないか」と思い立ち、制度を調べるという方はあまりいないと思います。そもそも「生活困窮者」という言葉を知らなければ、インターネットで調べても関係部署にはたどり着きません。新聞やテレビで頻繁に報道されるわけでもありません。なんとかならないか、と市の窓口を訪れる人は、どこかに相談すれば道が開けるということを知っている人か、誰か身近な人に市の窓口に行くようにと促された人ではないでしょうか。学校や自治会、民生委員の人たちが本人を心配して導けばよいかもしれません。しかし、一般市民は、身近に困っている人がいても市に相談しようと思いつかない人も多いのが実情です。また、市に相談しようとしてもどこに連絡したらよいのかわからないことが多いというご意見をよく聞きます。この制度の窓口である社会福祉協議会の担当者によると、借金が嵩んでいるなど、もうちょっと相談が早ければ、という人は多いとのことです。その前に何とかするのがこの制度のはずです。制度の周知は喫緊の課題です。

現在はあまり行き来がなくても、身近におり、かつて親交のあった人のことなど、気にかけている市民はたくさんおられます。あのおうちは、独り暮らしになってしまったとか、あの家のお子さんは長年引きこもっているようだとか、心配しながらも何もできないでいる人は必ずいます。困窮している当事者は、様々な状況から自ら助けの手をあげられないことも多いと思います。例えば、ちょっとした心配でも行政に連絡する方法が周知されれば、引きこもりなどの目に見えにくい情報を得ることが可能ではないでしょうか。市民が地域を守っていくという意識も高まるはずです。

「8050問題」という言葉があります。引きこもりの長期化などにより、本人と親が高齢化し、支援につながらないまま孤立化してしまうこと、といわれています。親が生きている間は、まだ年金がありますが、親がなくなってしまった場合、どうなるのか。

引きこもり問題は、家族も隠したがることが多く、なかなか目に見えてきません。お配りしたチラシには、「ひきこもりの子どもと暮らしていて、これからのことが心配」という文面があります。これから、本腰を入れて取り掛からなければならない課題だと思います。

チラシの表現方法は、もっと工夫が必要かと思います。(資料としてチラシ配布)ご覧のように一番上に「生活困窮者自立相談支援窓口」と書いてあります。生活によっぽど困っていないと行ってはいけないかのようです。また、たとえ困っていても自尊心を傷つけられる表現です。困窮とは、経済的困窮だけでなく、社会的孤立をも含みます。お金があっても困っている人はいます。ちょっとしたことでも相談しやすい表現にし、また近所の人など本人でなくても気軽に相談できる窓口にすれば、もっと情報が集まるはずです。窓口の一元化もこの制度の狙いであるはずです。この制度に当てはまらない相談だった場合は、他の部署にお連れすればよいだけです。

また、制度自体が広く周知されているとはいえませんから、定期的に広報誌で紹介したり、掲示板に張り出すなどの工夫も必要かと思います。

一般向けへの制度周知は現在、どのように行っているのでしょうか。

・広報やまと、社協だより、HP,チラシで広報している。

本人以外からも相談がしやすいように、チラシの文言を変えるなど、工夫が必要と考えますがいかがでしょうか。

・適宜、必要に応じて見直しを行う。

➡定期的に広報誌に載せる、掲示板に張り出すなど、広報を強化すべきと考えるがいかがでしょうか。

・制度の周知は大切。積極的に周知していく。

 

④収納課における対応について

経済的に困窮しているか否か、行政が一番判断しやすい窓口のひとつに収納課があげられます。数度にわたる税金の滞納者は、生活に困窮している可能性が高いと考えられます。いろいろな方がおられ、窓口がその対応に苦慮していることは理解いたしますが、数か月にわたる滞納者には相談窓口を紹介するべきではないでしょうか。感情を害する方もおられるかもしれませんが、本当に困っている人に手を差し伸べる方が大切な仕事かと思います。

また、家賃の滞納も一つのサインとなり得ます。滋賀県野洲(やす)市は、「生活困窮者発見緊急連絡プロジェクト」を2012年5月から始め、不動産会社と連携して生活弱者を積極的に支援しています。生活に困窮しておられる方が賃貸住宅に住まう割合は高いと考えられます。家賃滞納は、最初のサインとしてあらわれることが想定されます。業者に制度の周知を行い、窓口を案内してもらうなどの協力を得られれば、つながる人が増えると予想されます。

税について相談があった場合、分納等は、行っているのでしょうか。その際、相談窓口の紹介はしているのでしょうか。

(総務部)

・分納等の相談を受け付け、相談窓口の紹介をしている。

➡ある程度の回数の催促からは、制度の案内を同封すべきではないでしょうか。

・(自動車税について)県が行う予定であるので、県の動向を注視していく。

 

2、相談後の経緯

「生活困窮者自立支援制度」には、必須事業として「自立相談支援事業」と「住居確保給付金の支給」。任意事業として「就労準備支援事業」「就労訓練事業」「家計相談支援事業」「子どもの学習支援事業」「一時生活支援事業」があります。

制度開始3年目を迎える来年度には、国による見直しが行われる予定であり、任意事業が必須事業になる可能性もあります。

本市は現在、必須事業のみを行っています。その枠組みの中で、相談に来た方がどのような支援を受け、自立に結びついているか確認します。

相談者はどのような方が多い状況ですか。

・男性が多い。50台、40代、30代の順。単身世帯多い。18歳未満の子どもがいる家庭もある。

➡相談内容は、どのようなものが多いのでしょうか。

・家計相談、住宅、家族、就職

➡相談内容ごとにどのような形で支援をおこなっているのでしょうか。

・家計相談:支出見直しの助言  ・税金滞納:収納課に同行 ・住宅相談:保証人いない高齢者の支援など

➡プランを作成するのはどのような相談者でしょうか。

相談に来られた方のうち、プラン作成に至った件数を教えてください。

・就職などはっきりと目標のある相談者については、ゴール目指すための内容の支援プランを作る。

 平成27年度:49件  平成28年度 32件

 

中項目2 就労準備支援事業について

生活上、自立するには収入を得る就労が欠かせません。年金や生活保護などの収入の道のない相談者で就労していない人の支援はどのように行っているのか、確認いたします。

1、就労支援について(ハローワークによる就職)

職がない状況で相談に来られて、一般就労が可能と判断された方にはどのような支援が行われているのでしょうか。

ハローワークで一般就労を探す相談者の対応はどうなっていますか?

・ハローワークに同行。応募できるよう支援。

就職後のフォローはどのように行っていますか。

・プラン終了後、おおむね3か月程度は定着確認を電話でしている。連絡がつかない人には、必要に応じて家庭訪問している。

 

2、中間的就労について

中間的就労とは、直ちに一般就労することが難しい方のために、その方に会った作業機会を提供しながら、個別の就労支援プログラムに基づき、一般就労に向けた支援を中・長期的に実施する、就労訓練のことです。

現在、大和市は任意事業である「就労準備支援事業」や「就労訓練事業」は行っていません。長い間就労していない、一般就労が難しい相談者がすべて生活保護を受けられるわけではありません。引きこもりの方など、親と同居していて資産がある場合の支援対策は、現在宙ぶらりんの状態です。制度の周知をもっと行い、支援が必要とされる人たちが見つかった場合、何とかして自立できる方策を少しずつでも考えていくべきではないでしょうか。

先ほども申しましたが、8050問題は、目前に迫る深刻な課題です。

就労支援の一環としては、厚木に若者サポートステーションがあります。若者を対象としているため、現在の規定では39歳までの方が対象になっています。サポートステーションでは、職業訓練などを受けることも可能ですが、40歳を超えた方は、どうすればよいのでしょうか。

社会が健康であること、すなわち人々が共存できる社会をめざすには、多様なセーフティネットが存在する必要があります。お隣の座間市では現在、中間就労に熱心に取り組む事業者とともに就労準備支援事業の取り組みが進められています。

生活困窮者自立支援法は、今年度末で施行から3年目となり、見直しが行われる予定です。就労準備支援事業は必須事業になる可能性もあります。今から事業として取り組んでいく対策が必要と考えます。

一般就労が難しい相談者はどのような方か?現在、どのような支援を行っていますか?

厚労省調査実績では、認定就労訓練事業の利用が進まない理由として、「本人が通える範囲に認定事業所がない」(68.0%)があげられています。事業所を開拓し、つなぐことで、利用を伸ばせるのではないでしょうか。

生活保護法と生活困窮者自立支援法では対象者が分かれていますが、支援メニューに関しては、制度上は、就労支援や就労準備支援等について生活困窮者・生活保護受給者に対して同様の支援が可能な仕組みとなっています。

また、平成28年改正社会福祉法では、社会福祉法人が公益的な取り組みを実施する責務条項が創設されました。行政から社会福祉法人に働きかけることにより、事業所を開拓することができるのではないかと思います。

➡任意事業である就労準備支援事業を本市でも取り組み始めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

(上記まとめて)

・精神疾患や引きこもりなどの原因で、長期間就労から離れていた相談者の中には、一般就労が難しい方もいる。

・自立支援の窓口では朱老前の支援としてボランティア活動や簡易な作業を体験する機会を提供している。今後も市内の社会福祉法人などに作業訓練の場を提供していただきながら、国で検討している任意事業の見直しの動向に注視していく。

答弁ご意見要望

本市の新規相談件数は、全国平均をかなり下回っていることが分かりました。継続の相談者が多く、のべ相談件数は2015年2164件、2016年2198件と担当者が日々、相談や支援にご努力されていることは敬意を評しますが、新規相談者の増加は、必要な支援に結びつき、本市から生活に困窮している方を減らすことに役立ちます。本人や家族だけでなく、近隣の方からの相談も受けられるよう、広報や受け入れ態勢を整備し続ける努力をしていただきたいと思います。

2016年の内閣府調査によると、15歳から39歳までの方で引きこもりとされる方が1.57%という結果が出ました。40歳以上の方を加えると、もう少し多いと予想されます。この割合を大和市の該当人口で計算しますと、約52人となります。支援に結びつかないまま、親が高齢になり、死亡した場合、残された子供が外に出られぬまま自宅で死亡するケースは、今後、増加する可能性もあります。そのような悲惨な事態になる前に、当事者を探し出し、支援に結びつける必要があります。もし、外に出られる場合には、中間的就労は社会に扉をひらく重要な契機となるはずです。本市が生活保護受給者に対する支援と同時に訓練の場を開拓し、提供している努力をさらに広げていっていただきたいと思います。

多くの事業者が支援に関わることにより、支援が必要な人への周りの理解も広まるはずです。生活に困難な方たちを地域で支えていく一つの契機として、生活困窮者自立支援制度を使い、共生社会の実現につなげていただきたいと考えます。