「まち保育」の学習会を開催しました

2018年4月1日 16時56分 | カテゴリー: 活動報告

3月29日(木)神奈川ネット事務所会議室にて、新しい生き方・働き方研究会「子ども・子育て支援制度調査チーム」主催による「まち保育」の学習会を開催しました。講師は横浜市立大学国際都市学系まちづくりコース准教授の三輪律江先生です。

「まち保育」とは、まちにある様々な資源を保育に活用し、まちで出会いをつなぎ、関係性を広げていくこと、子どもを囲い込まず、場や機会を開き、身近な地域社会と一緒になってまちで子どもが育っていく土壌づくりのことです。単なる保育施設や教育施設の圏外活動だけを指すものではありません。

三輪先生は、研究活動の中で、住むー働く―暮らす―ー福祉の場を想定した小さい範囲の『日常生活圏(=乳幼児生活圏)』の再構築・再設定の必要性を説いておられます。
そのためには、
1、男女の役割を推進する住宅地開発から、男女が共に働き・子育てをするための都市計画への移行
2、個人―家庭―地域―仕事のバランスがとれた「生活者」でいられるまちづくり
をしていく必要があります。

学習会ではまち保育を進める試みの一つとして保育施設の「まちあるき」が紹介されました。
保育所の子どもたちが日々のお散歩の中で見て、感じていること、地域の人たちとのふれあい、面白いこと、びっくりしたことなどなどを記録していき、お散歩マップを作る。
「キッズカメラマンワークショップ」「防災まち歩きワークショップ」などを行い、子どもの視点から街を見る試みを行う。
そして子どもを「まちが育てる」きっかけとして住民の「まちの子ども」への関心を誘発し、子どもが見つけた地域資源を地域で共有する。などなどを行っています。
子どもたちがまち歩きを行っている中で「キレイなお花をいつも見せてくれるお家」「トトロの置物があるお家」など、いつも立ち止まるポイントの家の方に感謝カードを渡す「ありがとうカード大作戦ワークショップ」。子どもの目があることにより玄関前のセミパブリックの場所が変わっていくということが起っています。
例えば、花を植えるのは自分の楽しみではありますが、道から見える場所に植えるのは、皆に見てもらいたいからでもあります。子どもの視点を通すことにより、自分だけではなく、皆のために、と関係が変わっていきます。カード大作戦のあとは、家の方に向いていたトトロの置物が、子どもたちによく見える道の方に向きが変わった、などのほほえましい報告がなされました。

日々、ふれあうことで、街の人々にとって子どもたちは、ただの見知らぬ子どもから、かけがえのないひとりの子どもに変化します。子どもから見ても、お花の家のおばさん、赤い自動車のおじさん、と親しみがわきます。

子どもたちは、やがて保育園を卒園し、小学校に入りますが、近所の人たちとの関係は、続きます。子どもをまち全体でそだてるという形が生まれるのです。

私は、お話しを伺う中で、20年以上前、友達の家でみた光景を思い出しました。その友達には小さな子どもがいました。お家に遊びに行って、おしゃべりしていた時、清掃車が近づく音楽が流れました。友達は、「ちょっと待ってね」と言うと、子どもを外に連れ出しました。なにごとか、と聞くと、清掃車のお兄さんに手を振りに行くとのこと。必ず手を振り返してくれるので、その子はいつも楽しみにしているのだ、ということでした。

待っている子どもがいる、ということ。ゴミ収集という重労働の中で、そのお兄さんにとってもひとつの喜びになるのではないでしょうか。仕事に対する誇りにもなると思います。

顔がみえる関係を広げ、みなが手をとり合って生きていくことにより、社会のつながりが生まれます。それは子どもの保育にとどまらず、社会的弱者や高齢者に目を向けることにもつながります。

この先の社会に少し、灯が灯る。そんな可能性を感じた学習会でした。