子どもの視覚検査について(2018年6月一般質問より)

2018年7月12日 15時25分 | カテゴリー: 活動報告

日本では、全国的に子どもの3歳児健康診査時、視覚検査を行っています。3歳時点で弱視等の目の異常が発見できた場合、治療によって十分な回復が見込めますが、6歳になって就学前検査で見つかった場合は、十分な視力を得ることが困難になります。この一般質問によって、大和市では、毎年約60人もの子どもが一時検査の仕方や確認の見落としにより、異常の可能性があるにもかかわらず検査を受けていない実情が浮かび上がりました。早急な改善が求められます。以下、質問内容と答弁です。

こどもの視覚検査について

中項目1、大和市の現状について

2017年4月7日、厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長から各都道府県母子保健主管部宛に事務連絡がありました。「3歳児健康診査における視力検査の実施について」という文書です。

「子どもの目の機能は生まれてから発達を続け、6歳までにほぼ完成しますが、3歳児健康診査において強い屈折異常(遠視、近視、乱視)や斜視が見逃された場合に、治療が遅れ、充分な視力が得られないとの指摘がなされています。」と説明の後、市町村において視力検査が適切に実施されるよう都道府県の支援を依頼するものです。依頼の内容は、

1、3歳児健康診査を受診する幼児の保護者に対し、子どもの目の機能は6歳までにほぼ完成するため、3歳児健康診査において異常が見逃されると治療が遅れ、十分な視力が得られないことがあることを周知すること。

2、月齢によってはランドルト環を用いた視力検査の実施が困難なケースもあることから、家庭において視力検査を適切に実施することができたか保護者に確認するとともに、適切に実施することができなかった受診児に対しては、必ず3歳児健康診査の会場において視力検査を実施すること。
(ランドルト環とは、視覚健診によく用いられる輪っかの一部が欠けた記号です。こういうもの)

3、0.5の指標が正しく見えなかった受診児及び視力検査を実施することができなかった受診児については、その保護者に対し眼科医療機関の受診を勧めること。

4、3により眼科医療機関の受診を勧めた場合には、受診結果について保護者に確認すること。

というものです。

厚生労働省児童家庭局母子保健課に確認したところ、事務連絡を出した理由は、3歳児健診時の目の異常の改善策を議員や学界から要望されたためということです。新聞等の報道でも3歳児視覚健診の不備が指摘され、群馬県など県をあげての対策に乗り出しているところもあります。

弱視にはおもに次のようなタイプがあります。
1、形態覚遮断弱視…白内障、角膜混濁、瞳孔閉鎖、眼窩腫瘍など乳幼児期に視覚刺激が遮断されることで起こる、片眼または両眼の視力障害。
2、斜視弱視…斜視があるために、斜視眼が抑制されて起こる視力障害。
3、不同視弱視…左右のうち片眼に屈折異常があることで生じる片眼の視力障害。
4、屈折異常弱視…両眼の屈折異常による両眼の視力障害。

重症度としては、1の形態覚遮断弱視が一番重く、2,3,4の順に軽症になります。2歳以降に生じた斜視弱視、不同視弱視、屈折異常弱視など大部分の弱視は、3歳児眼科検診で発見されれば治療によって十分な改善が見込まれます。これらの弱視は子どもの50人に1人と、高い頻度で見られるといわれています。

3歳児健診で目の異常が見つかった場合、治療により視力の回復が期待できますが、6歳以降になると回復が困難になります。「弱視は近視と異なり、メガネで矯正しても視力が十分出ない」と東京医科歯科大の大野京子教授は説明しています。見る力が発達する乳幼児期に治療することが重要で、3歳児健診の視力検査は大きな節目になるとのことです。

弱視の子どもは生まれた時からあるいはごく小さい時から同じ状態なので、言葉がしゃべれるようになっても自分の異常には気づきません。保護者や保育園、幼稚園の大人など周りが気づかなければ、見逃してしまうことになります。

検査は、全国的に同じ様式で行っているところが多いと思います。第1段階の検査は普通、家庭で行います。子供が正しく答えられるかどうかや保護者のやり方によって漏れが出る可能性があります。集団検診は小児科医が行い、問診によって発見できる場合もありますが、その後の検査に行かない人もいるため、漏れが生じる可能性もあります。  本市の3歳児の視覚検査の現状は、どうなっているのか、お伺いいたします。

【質問】➡【部長答弁】

  1. 大和市における3歳6か月健診時、眼科検査の方法はどのように行っていますか。
    ➡「視力と聴力の調査のおねがい」を事前に配布し、当日回収している。
  2. 2017年度の健診における2次検査に進んだ人数と割合をお答えください。
    ➡1930人中 530人 27.4%
  3. 2次検査に来た人数と割合
    ➡344人 2次検査対象者の64.9%
  4. 2次検査に来ない人への対応2次検査の受診率向上に向け、さらなる手法を検討していく。
    ➡委託先の小児療育相談センターが手紙や電話で個別に連絡している。
  5. 精密検査判定を受けた人数と割合
    ➡99人 2次検査受診者の28.7%(全体の5%)
  6. 精密検査を受けた人数と割合
    ➡94人 要精密検査の判定を受けた人の94.9%
  7. 精密検査結果の把握
    ➡医療機関から療育センターに報告があり、センターから市に報告がある。
  8. 精密検査に行かなかった人への対応
    ➡今後市としても精密検査について受診の勧奨を行うなどのさらなる強化を図っていく。来年度に向けて市ができることを模索していく。
  9. 就学時健康診断での視力及び目の検査の内容について
    ➡国際基準に準拠したランドルト環の単独指標により、学習に支障のない見え方であるかどうかを検査している。目の検査については、眼科医により斜視などの眼位異常の有無や目の周囲、瞼、まつげ、結膜、角膜などを検査している。弱視の疑いを含め、検査により異常を発見した場合には、保護者に眼科医の所見を記載した結果をお渡しし、医療機関への受診を勧告している。(その後のことは把握していない)

 

中項目2 健診での見逃しをなくすために

現状、本市の検査方法では、第1段階で問題なしとされれば、第2次検査に行きません。インターネット上では、市役所から3歳児検診の案内が来たけど、視覚検査が大変だった、子どもが動いてうまく検査ができなかった事例などがたくさん載っています。厚労省の通知の中では、参考としてランドルト環を用いた視力検査の実施可能率が載っていますが、3歳0か月児で73.3%、3歳6か月児で95%という数字です。うまくできなかったと保護者が正直に申請すれば、2次検査を勧められますが、まあいいか、と適当に答えてしまった場合は、検査はそこで終わりです。
2017年の2次検査の必要があった子どもは、1930人中530人で27.4%です。これは、家でうまく検査できなかった子供を含むとのことですが、1/4強の子どもが2次検査を受ける必要があることになります。

実際に2次検査に進んだのは、344人、2次検査対象者のうち64.9%です。186人の子どもが検査の必要があるのに受けていないことになります。

2次検査を受けた子どものうち、精密検査の判定を受けたのが99人、全体の5%、2次検査受診者の28.7%いますが、実際に精密検査を受けたのは、94人、要精密検査の判定を受けた子どもの94.9%です。この割合は、統計上は高いものですが、残りの5人は、視覚異常の可能性が極めて高いにもかかわらず、治療に進む可能性が低いと考えられます。

就学時健康診断では、眼科医の診察があるとのことです。そのため、そこで新たに視覚異常が発見される可能性もありますが、先に述べたように6歳児からの治療では、3歳児時点に比べて十分な回復が見込めません。

本市だけではありませんが、従来の3歳児視覚検査の方法では、弱視や視覚異常の子どもを100%発見することは困難です。それがゆえに、厚労省の通知も出されているのです。

この事実をほとんどの保護者は知らないと思います。3歳児検診のお知らせが来た、なんか家で検査しなければいけないようだ、明日が健診だ、急いでやらなくっちゃ、と子どもの検査を行う保護者の姿が目に浮かぶようです。日々の子育てに追われる中で、私もそのような感じで健診を受けていました。

しかし、目の異常はその後の子どもの生活に大きな影響を及ぼします。3歳児で発見できれば、治療を受けることができ、改善されるのがわかっているのです。
発見の精度を上げていく施策が求められます。

そのためには、保護者に3歳児時点での視覚検査の重要性を周知するとともに、3歳児健康診査時に視覚異常の発見の可能性の高い機器の導入を検討したらいかがでしょうか。

現在は、操作が簡単で眼科医でなくても扱うことができる簡易スキャナーという機器が開発されています。弱視のリスクを1秒ほどで判定できるというものです。子どもに見えるかどうか答えさせる必要もなく、判定の精度も高いといわれています。外国で開発された機器ですが、日本でも3歳児の集団検診時に導入している自治体が複数あります。

群馬県は、県が積極的に推進しており、伊勢崎市、高崎市、前橋市などが導入済です。東京都三鷹市や長野県飯田市、中野市なども導入しています。今後、東京都練馬区、千葉県千葉市、市川市でも導入の予定だとのことです。国家資格である視能訓練士などが行っている場合が多いとのことです。神奈川県では、まだ導入している自治体はないようです。

【質問】

1、子供の視力は6歳までにほぼ完成するため、早期に治療を開始できれば、視力向上の可能性が高いといわれています。保護者に視覚検診の大切さを知ってもらい、現在行っている保護者による調査表記入の精度を上げるため、1歳6か月健診時点から、3才6ヶ月健診で眼科検査を行う理由を周知し、日ごろから子どもの視力に対する注意を喚起したらどうでしょうか。

【答弁】

1次検査の精度をさらに上げるために効果的な機会をとらえ、保護者に対して子どもの視力に対する注意喚起を行っていく。

【質問】

2、3歳児の集団健診時、大和市でも簡易スキャナーの導入を検討したらどうでしょうか。

【答弁】

現在のランドルト環を使った検査は、大和市が行っている3歳6か月時点では精度が高い。機器を導入している自治体は3歳0か月児の健診で使っているところが多い。大和市では、2次検査で機器(スキャナーではない)を使って検査しているため、スクリーニングの精度は高い。
今後、他市の実施状況について、調査研究していく。

(答弁後の要望等)

3歳6か月児の視覚検査については、2次検査、精密検査をきちんと受けることができれば、現在の検査方法でも視覚異常を発見することが可能なことがわかりました。

しかし、現状が示している通り、2次検査の必要があっても受けていない子どもは、2017年度のデータでは186人、35.1%もいます。2次検査を受けた子ども344人のうち、精密検査を受ける必要があったのは99人、28.7%いたので、2次検査を受けていない186人の子どものうちの28.7%、54人が精密検査の必要があるにも関わらず、検査を受けていないという計算になります。これが、本市の現状です。

精密検査を受けた子どもは高い確率で何らかの目の異常が見つかるとのことですので、この2次検査を受けていない子ども、また精密検査を勧められたにも関わらず受けていない子どもの受診率向上は、喫緊の課題です。今後、2次検査の受診率向上に向け、さらなる手法を検討するとのことです。早急な対策をお願いいたします。

また、家庭での検査に不備があるにもかかわらず、保護者が正常と判断し記入することで、2次検査を勧められない場合も起こりえます。目の検査の重要性を検査時の文面だけではなく、機会をとらえて周知していくという今後の施策に期待いたします。

3歳児の集団検診時に簡易スキャナーを導入する自治体は、今後増えると予想されます。確実に、見落としは減るはずです。

厚労省の通知の中にも「家庭において視力検査を適切に実施することができたか保護者に確認するとともに、適切に実施することができなかった受診児に対しては、必ず3歳児健康診査の会場において視力検査を実施すること。」という文面があります。会場で検査を実施することは、目の異常があるにもかかわらず、治療を受けることができない子どもを減らします。

他市の状況を注視しながら、導入に向けての研究を行っていただきますよう要望いたします。