自治と次期総合計画について(2018年9月一般質問より)

2018年11月3日 17時42分 | カテゴリー: 活動報告

総務省が今年発表した「自治体戦略2040構想研究会報告書」は、今後ますます進む少子高齢化の世の中での自治体の在り方を国が提案したものです。国がこの考えを推し進めた場合、地方の独自性はなくなり、地方自治の危機が訪れると私は感じています。
この流れに対する大和市の姿勢を問うたところ、市長は「自治の基本理念にのっとり市民の声に耳を傾け、今何をすべきかと常に考え、市政運営に取り組んでいくことが重要」と述べました。また、「新たな自治体行政の在り方について少子高齢化社会への構造の変化に対応し、市民サービスを安定的、効率的に提供していくための解決手段が圏域単位での行政運営であるのか、疑問である。」と答え、この答弁は、9月19日の神奈川新聞に掲載されました。自治基本条例を持つ自治体として、住民の最も身近にある行政機関として、これからもこの姿勢を貫いていくべきです。

また、現在策定中の次期基本計画についての質問を行いました。住民参加が基本の地方自治ですが、市の最上位計画である総合計画についての広報が不足しているように思われ、市の姿勢を問いました。

以下、質問の内容と答弁の概略を掲載します。

 

1 地方自治と自治体戦略2040構想研究会の報告書について

地方自治法は、憲法第92条「日本公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」に基づき、1947年4月に公布され、憲法施行の同年5月3日、まさしく憲法と同じ日に施行された法律です。
その第1条には、
「国と地方公共団体との間の基本的関係を確立すること」
「地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障する」ことが目的として定められています。また、地方公共団体の役割として
「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うもの」とされています。

国は国際関係や全国的な施策を重点的に行い、「住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねること」を基本とし、「地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるよう」しなければならないと定められています。

地方自治とは、一定の地域を基礎に,その地域の共同事務を住住民の負担と責任責任でみずから決定し処理する政治形態です。国法および中央政府の制約を受けはしますが、団体自治、すなわち中央政府とは別の独立した地方政府をもち一一定地域について自主的な政治・行政ができること 、住民自治、すなわちその運営は住民参加が基本であることを要件としています。

公益財団法人地方自治総合研究所所長の辻山幸宣氏らは、「地方自治は、地域の住民が地方自治体における諸施策の作成や実施に参加し、それぞれの地域の特殊事情を生かしながら、住民相互が協議し合意を得て、自分たちの判断と責任において地域の公共的な諸問題を解決し処理することである。そして、多くの住民が身近な地方自治体の運営を通じて、そのような経験を積むことにより民主主義を体得していくことにもなる。」と述べています。

2018年7月5日、第32次地方制度調査会の第1回総会が開催されました。この場で手渡された内閣総理大臣の諮問書は、「人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応する諸観点から、圏域における地方公共団体の協力関係、公・共・私のベストミックスその他の必要な地方行政体制のあり方について、調査審議を求める」という具体的で詳細なものです。新たな地方行政の在り方を国が求めているといえます。

この調査会は、総務省「自治体戦略2040構想研究会報告書」~人口減少下において満足度の高い人生と人間を尊重する社会をどう構築するか~を参考にしつつ、2年以内に答申をまとめることになっています。
報告書は、「破壊的技術(AIやロボテックス、ブロックチェーンなど)を使いこなすスマート自治体へ転換」、「半分の職員数でも担うべき機能が発揮される自治体」、「標準化された共通基盤を用いて、効率的にサービスを提供」、「新しい公共私の協力関係の構築」、「圏域マネジメントのしくみ」など、これからの自治体のありようについて、多くの言及をしています。

報告書では、市町村の枠を超えた、中央集権的な圏域的なマネジメントの提案がなされています。管轄区域内での行政サービス提供機構の側面を重視する報告書の提案に沿って調査会は話し合われていくことでしょう。この方向性を推進した場合、自治体は何の特色もない行政サービスを行うだけの機関になってしまう可能性があります。市とは、自治とは何か示し、自治体として考え、施策を推進していくことが今、求められているのではないでしょうか。

 大和市は平成16年4月、川崎市と同じく神奈川県で2番目に自治基本条例を定めています。それに先立ち、市民が考えた素案を基本に策定されたことが大きな特徴である「新しい公共を創造する市民活動推進条例」が制定されました。「新しい公共」という新たな公共の理念や、「市民事業」、「協働事業」、「提案制度」といった理念を実現するための仕組みが盛り込まれています。

自治基本条例は、住民が主体となってまちを治めることを宣言したものであり、大和市自治基本条例は、大和市の最上位条例です。厚木基地の移転実現に努める、など大和市独自の視点が入っているほか、
第13条 市議会は、自治の基本理念にのっとり、その権限を行使し、自治を推進しなければならない。
第15条 市長は、この条例を遵守し、自治を推進しなければならない。
など、自治の推進を強調したものになっています。

 大和市の特色を出した大和市ならではの施策を展開するためには、そこに住む住民参加が大切です。住民自治を推進していかなければ、地方自治の基幹は崩されてしまいます。

大和市自治基本条例には、自治を推進する方向性がはっきりと示されています。そしてこれからの高齢化社会は、住民同士が助け合っていかなければ成り立ちません。しかし、自治体のしくみは行政が決めていくもの、自分には関係ないと思っている市民が多いのもまた事実です。
群民的自治体観と機構的自治体観という考え方があります。群民的自治体観とは、住民集団の側面を重視した考え方で、機構的自治体観とは、管轄区域内での行政サービス提供機構の側面を重視した考え方です。
自治基本条例は、群民的自治体観の表れであり、総務省の「自治体戦略2040構想研究会報告書」は、機構的自治体観を前面に押し出したものといえると思います。
少子化が進む中、元気な高齢者は自分が楽しむことを基本に支援する側になって、皆とともに、皆のためにこの大和市で生きる。70歳代を高齢者といわない宣言も、いつまでも健康でいられるための施策も、このためのものでもあるでしょう。
本市は協働事業が活発です。本年度までの実施事業は10事業あり、そのうち9事業が市民提案型のものです。この方向性をしっかり見据えていく必要があるのではないでしょうか。

質問

①総務省の「自治体戦略2040構想研究会報告書」に示されている自治体の在り方について、自治基本条例を持つ自治体としてどう考えるか、市長のご意見をお聞かせください。

②圏域での連携が進むと大和市独自の特色はなくなってしまうと思いますが、これについての市長のお考えをお聞かせください。

答弁(市長)

新たな自治体行政の在り方について少子高齢化社会への構造の変化に対応し、市民サービスを安定的、効率的に提供していくための解決手段が圏域単位での行政運営であるのか、疑問である。
地域の実情を最も理解している基礎自治体が主体的に判断するのが基本。
全国市長会の会長からは、圏域単位の行政運営については強い懸念を示している。仮に進んだとしても基礎自治体が果たすべき役割は基本であり、自治の基本理念にのっとり市民の声に耳を傾け、今何をすべきかと常に考え、市政運営に取り組んでいくことが重要である。

2 次期総合計画について

 大和市自治基本条例の第17条 は、総合計画について定めた条文です。
総合計画(総合的かつ計画的な行政運営を図るための基本構想及びこれを具体化するための計画をいう)は、自治の基本理念にのっとり定められなければならない。とされています。大和市自治基本条例の前文には、「「大きく和する」という願いをその名に込めた大和市では、市民一人ひとりが個人として尊重されること及び自らの意思と責任に基づいて自己決定することを自治の基本理念とし、安全で安心して暮らせる社会の実現に向けて努力を重ねていかなければなりません。」とあります。
自治の基本理念にのっとり定めるとは、その制定においても住民参加が基本だということです。
今年7月から8月にかけて、次期総合計画の基本構想・前期基本計画(素案)に関する市民意見公募手続が実施されました。提出者数は6人でした。策定の流れは、6月に議員全員にご説明いただきました。
昨年11月に市民討議会が行われ、高校生12人を含む47人の市民で意見交換を行っています。総合計画審議会は、6回の会議を経て今年4月に答申を出しています。6月の議会への説明会の後、7月にパネル展示会と市民意見公募手続きを行っています。基本構想・前期基本計画は次回の12月議会に上程される予定です。

次期総合計画に関して健康を理念に掲げた上で、これまでの取り組みをさらに進め、成熟させていくことを基本に検討をすすめたということです。これまでの10年と団塊の世代が75歳を迎える2025年を含むこれからの10年でどこに違いが出たのでしょうか。

次期基本計画と策定のプロセスについて質問します。

質問事項

①今後を見据えた次期総合計画の特徴は何か。

②市民にとっても重要な計画を策定するにあたり、市民の意見を訊くためにどのような努力をしたか。

③住民自治の観点からは、策定プロセスが重要です。市民討議会の議論は、多くの市民は知らないと思います。討議会はどう開催され、何について討議を行ったのか、ファシリテーターはどのような人か、どのような意見が出たのかお聞かせください。

④パネル展示会と市民意見公募は、どのように周知したのでしょうか。

⑤パネル展示会の開催回数と参加者、意見などの概要をお答えください。

⑥パブリックコメントの内容と計画への反映についてお答えください。

答弁

①(市長)

第8次の振り返りと人口推計を実施。
本市でも少子高齢化が進み、10年間の計画の中で緩やかにではあるが初めて減少していく予想。
一人ひとりの市民に大和に住んでよかったと感じてもらうためにますます健康の観点が重要になる。
ひと、まち、社会―連携をさらに深め、成熟させ、より感性に近い健康都市大和にしていく。
ひとの健康では、健康と福祉の基本目標を別に定めた。
子育て・教育―別にし、することを具体的に示した。
AIなど科学技術の進歩がこれから進むことを受け、基礎自治体として対応していくために柔軟性を持った計画にしている。

②平成28年、500人を対象に市民意識調査の結果を参照、また平成29年11月市民討議会を開催。総合計画審議会は公募の委員を入れ、4月に答申をもらっている。
7月パネル展示会。7~8月パブコメ

③無作為で3000人に案内。市内高校生含む47人で行った。(高校生は、市内の全高校にお願いに行った)
テーマ:大和市の10年後の未来についてファシリテーター(専門の会社の人)が討議をリードし、8つのグループに分かれて討論。
元気な高齢者の活躍、子育て支援の充実、歩くことによる健康づくりなど、市の計画の後押しになるような意見が多く出された。

④パブコメ―広報やまと7月1日号
パネル展示会―広報やまと7月5日号に掲載

⑤会場は、シリウス学習センターなど7カ所 土、日、夜間などのべ10日間。
会場には総合計画担当職員、若手職員などが常駐し、市民に積極的に声掛けを行い、意見等をもらった。パブコメ用紙を用意。その場で書いた人もいる。

⑥混淆の維持、子育て支援、教育、防衛など意見はすべて参考にする。

答弁後の意見

総務省の「自治体戦略2040構想研究会報告書」は、今後ますます進む少子高齢化の世の中での自治体の在り方を提案しています。国がこの考えを推し進めた場合、地方 自治の危機が訪れると私は感じていますが、市長は「自治の基本理念にのっとり市民の声に耳を傾け、今何をすべきかと常に考え、市政運営に取り組んでいくことが重要」とはっきりと述べられました。自治基本条例を持つ自治体として、住民の最も身近にある行政機関として、これからもこの姿勢を貫いていただくことを要望します。

次期基本計画と策定のプロセスについてご説明いただきました。市民討議会の開催やパネル展示会での市民への積極的な呼びかけなど、市民の意見を集めるための努力はなされたと思いますが、パブコメに集まった意見が少なめだったことは残念です。私の周りでもパブコメやパネル展示会を行っていることを知らなかった人が大多数でした。ご答弁にありましたように、広報やまとの7月1日号と7月15日号には意見募集のお知らせが載っています。しかし、表紙にはその記述はありません。7月1日号には「大和市文化祭一般公募展」の作品募集、7月15日にはやまとで紅白歌合戦の出場者を募集と表紙にあります。広報やまとの表紙は、各駅など目立つところに多数設置されているPRボードに掲載されます。大和市の最上位計画である次期総合計画基本構想についての意見募集です。もっと目立つようにPRすべきなのではないでしょうか。

この大和市で暮らす住民が意見を寄せ、それが計画に反映される。そして住民が行政の主体であることを実感できる。そうあってこそ、住民にも責任感が生まれ、これからの高齢化社会にあって市民が作り上げる大和市らしい特色が生まれてきます。身近な地方自治体の運営を通じて、民主主義を体得していく住民を増やしていくこと、その努力をこれからも続けていっていただくことを要望します。