わかりやすい財政状況の公表を(2018年12月一般質問より)

人口減少、少子高齢化が進む中、これからの財政運営を堅実なものにしていくためには、自治体への信頼を増し、市民の納税者意識を高めることが大切です。そのためには、税金を納めるとはどういうことなのか、自分たちの生活とどうかかわっているのか、その予算はどのように決められているのかなど、市民が納得することが必要です。大和市は、予算や決算が決まると、広報やまとでその概要を公表していますが、すべての市民に分かりやすいものであるとはいえません。お隣の藤沢市では、漫画などを使っただれでも読む気がおきるような冊子を作っています。小学生でもわかるような公表の仕方を提案しました。

以下、質問の内容と答弁の概要です。


1 市税について

今回、税金のことを取り上げるにあたっていろいろ調べているうちに、国税庁が小中学生向けに税金についてのアニメーションを作成していることを知りました。中学生版の方が面白かったので紹介します。

おでんの屋台で若いサラリーマンが「こんな少ない給料で税金まで持っていかれたんじゃたまんないよ、税金なんかなくなっちまえばいいんだ」と叫ぶと、傍にいた謎の男がフフフと笑って、サラリーマンはいつもと同じようで違う世界に入ります。その世界は、道は穴だらけ。ゴミは山積み。「どろぼう」と叫ぶおばさんがいて、「警察呼ばなきゃ」というと、「警察なんかに払う金あるかい」という返事。昼間の街には12~3歳ぐらいの子どもがうようよしていて、「学校は?」とサラリーマンが訊くと、「学費高くて学校なんか行ってられない」。夜、家でうとうとしてタバコの火が燃えだし、電話で消防車を呼ぶと「すぐ消すコース」と「じっくりコース」どちらにしますか、「え~なに言ってるの」という間に家は全焼というオチです。最後に「いかがですか。税金のない、パラダイスのような暮らし、フフフ、心ゆくまでご堪能ください、アナザーワールドを。フフフ、と江守徹が声優をしている謎の男の声がして終わりです。

ここに描かれている道路、ゴミ、警察、学校、消防、すべて税金で賄われているのは言うまでもありません。国税庁は子ども向けの説明文で「税とは会費のようなもの」と説明しています。そう聞くと、アニメは、会費を支払わないとこんなことになるよ、とちょっと脅かされているような気もしてきます。

納税は憲法に書かれた国民の義務です。
日本国憲法第30条には、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」とあります。

税金の恩恵を全ての市民は受け取っていますが、あまりに当たり前になっているがためにそのありがたさを感じられず、膨大な軍備費など自分の意にそぐわない使い方をされると、文句を言いいたくもなってきます。引かれる税金は少ない方がいいというのは皆の本音ですから、選挙のたびに政治家は「税金を減らします」と言います。そして、当選します。

朝日新聞論説委員の伊藤裕香子さんのレポートによると、「高福祉・高負担・高幸福度」の北欧モデルの元で暮らす人々は、税のことを「社会に対する補助」「将来への貯蓄」「セーフティネットのため」「みなが平等に恩恵を得るもの」など、税金はいわば「投資」であると考える人が多いようです。

「会費」と「投資」ではどこが違うのでしょうか。「会費」は「支払わなければならないもの」ですが、「投資」は「自分のために支払うもの」です。スウェーデンでは小学校から「税金」について学び、納税者意識を高めています。また、徹底した情報公開を行うことにより行政への「信頼」を高めた上に成り立っています。ですから選挙で「税金を減らします」という候補者は、落選するそうです。税金が減るということはサービスが減る、とすぐに解釈できるからです。

日本は今、自己責任論渦巻く世界ですから、北欧モデルとは程遠いです。まずは貯金、それが唯一の自己防衛であるかのようです。しかし、サービスの恩恵は、自治体レベルでは市民も容易に感じられるはずです。私もゴミを出すたびに、ありがたいな~と感じています。人口減少、少子高齢化が進む中、これからの財政運営を堅実なものにしていくためには、自治体への信頼を増し、市民の納税者意識を高めることが大切です。

質問

1、税とは何か、どう考えるかによって、市の財政運営は変わってくると思います。市長のお考えをお聞かせください。

2、学校現場では、子どもたちに税についてどのように教育をしているのでしょうか。

答弁概要

1、地方自治法と住民の受益の権利のこと。負担の義務の紹介。その負担が市税である。
基礎自治体には、行政サービスを提供して地域社会を築いていく責務がある。
本市でも、子育て、福祉など様々な課題に直面してその責務が増加している。
責務を果たすため、将来にわたって安定して市民サービスを提供するために市税は不可欠なものである。

2、小6の社会、中3の公民で、神奈川県租税教育推進協会の資料を活用し、
小学校では税金の働き、中学校では国民の義務としての納税や財政について(国、地方の税の種類など)
その税が公共サービス や社会保障制度へ還元されていることを学習している。
また、税務署から講師を招いて租税教室を行ったり、中学校では全国納税貯蓄連合会および国税庁が主催する税についての作文に応募したりしている。

2 市の財政をわかりやすく開示することについて

恥ずかしながら、私は数字や計算が苦手で、株などにも興味がないので、経済用語には少し拒否反応があります。予算や決算審議の前に財務課から説明していただきますが、議員になってしばらくは、財政力指数だとか繰越明許費など分からない言葉が多すぎて、話についていくのが大変でした。金額も大きすぎて、今でも一十百千万と数えなければわかりませんし、自分に身近な金額ではないので、その金額が適切であるのかどうか、判断に困ることもあります。

こんな私ですが、我が家の同居人はもっと数字に興味がないので、家計はすべて私が担っています。給料日になるとまず、支払わなければならない金額を計算し、銀行に行き、家のローンやマンションの積立金、公共料金、生協の支払いやクレジットカードが引き落とされる口座にお金を移し、残りを持ち帰ります。猫のために積み立てているお金を封筒に入れたり、酒屋さんに支払いをしたり、子どもにこづかいを渡したりしているうちにだんだんと残金が少なくなりますが、今のところ何とかやりくりしています。

考えてみれば市の財政も家計と考え方は同じはずです。収入があって、支出があります。人件費は食費に当たるでしょうか。扶助費は医療費や保育料、などなど。収入が市税、つまり給料だけでなく、親からの仕送りとでもいうべき交付税や国庫支出金が半分近くあることや毎年なにがしかのローンを組んでいるところなどは、ちょっと健全な家庭とは違うかもしれませんが、このように家計に照らして考えてみると市の財政のことがすっと頭に入ってきます。

毎年、予算と決算審議の議会の後、「広報やまと」に予算や決算の概要が載ります。歳入はいくらで、歳出がいくらと書かれ、目的別や性質別の内訳と用語解説も載っています。また、カラーの一覧表を毎年公表しています。内容がわかる人にはわかるのでしょうが、去年より何%増とか何%減とか書かれても、私のように数字に弱い人は、ああそうですか、程度の感想しか持たないような気がします。ですから、詳しく見ようとする人にしか注目されないと思います。ひとは、理解できるものにしか興味を持ちません。

市の財政がどういう状況なのか、大丈夫なのか、あるいはまずいのか、より多くの人と共有するためには、現在の公表の仕方のままでよいのか疑問です。

また、市の予算がどのように決まるのか、選ばれた市民の代表からなる議会がどのように関わっているのかを説明することで、市民にも参加者意識が生まれるはずです。

ふるさと納税制度も本市では減収を招いています。昨年度では約2億8千万円の減です。無視するには大きすぎる額です。国税庁が募集している税に関する作文で受賞した厚木市の中学生の作文の中には、このような一節があります。この中学生の家では、ふるさと納税を利用しましたが、「本来住んでいる地域に納めなければならない税金を他の自治体に納めるということで、そこに納めている人たちと同じサービスを受けるということに、不平等を感じた。」というものです。

ふるさと納税の宣伝には、実は自分の住む地域のサービスに影響があることなど書かれていません。他市町村への寄付によって住民税が減額されるという説明はありますから、税のことをよく知る人には当たり前なのかもしれませんが、それが実は自分にどう影響するのか考えて行う人は少数と思います。まして、この中学生のように不平等だとかうしろめたいと思うような人はほとんどいないでしょう。

先日特別委員会で審議されました健康都市やまと総合計画 基本構想の7健康な財政経営の中には、「行政経営そのものも「健康」にしていくことが大切」とあり、方針1「分りやすい行政経営」には、「市の情報を積極的に提供し、より多くの人と共有することにより、市民や地域の協力のもとで、分かりやすい効果的な行政経営の推進に努めていきます」と書かれています。

お隣の藤沢市は、漫画などが入った小中学生でも読む気になるような冊子を作成し、市民に配布しています。市の財政を家計に例えたページもあり、市の財政状況が大変わかりやすいものになっています。例えば、年収500万円の家計に例えていただくと、金額が身近になり、市民に実感しやすくなります。

質問

・平成30年度の大和市の当初予算を小学生にもわかるように家計に例えて説明してください。

答弁

年収500万円の家計に例えると
収入
基本給(市税など) 235万
諸手当(地方交付税、国庫支出金など) 168万
貯金の取り崩し(基金繰入金) 14万
家賃収入(使用料・手数料など) 39万円
生活資金のローン(臨時財政対策債) 9万円
家の増改築のローン(建設債等) 35万円  合計500万円

支出(性質別)
食費(人件費) 80万
医療費(扶助費) 152万
ローン返済(公債費) 24万
その他生活費(物件費、教育費などその他)142万
家の増改築費(普通建設事業債) 49万
子どもへの仕送り(他会計への繰出金) 53万  合計500万円

ローン残高 295万円
貯金 37万円

質問

・市の財政状況をもっと市民に分かりやすい形で公表すべきと考えますが、いかがでしょうか。

答弁概要

現在は、ホームページなどを活用し予算や決算の概要について市民へ周知している。財政に関する用語は専門的で理解し難いことや金額が大きくイメージがわかない面もありますので今後はより一層分かりやすく市民が関心を持てるような情報提供に努めていきます。

答弁後要望等

小中学校では、税について学習していることがわかりました。きちんと学んだ子ども達が、保護者に税についてきちんと説明してくれて、せめてふるさと納税による減収が少しでも減ることを願ってやみません。

市長は市税を「負担」と表現されました。「負担」は誰でも嫌なものです。「嫌でも納税する」、からせめて「必要であるから納税する」市民が増えるよう、これからの対策が望まれます。

市民への周知については、今後一層わかりやすく市民が関心を持てるよう、情報提供を行っていくというご答弁に、今後を期待いたします。できれば、小学校の教材に耐えられるような冊子を作ってほしいと、数字に弱い市民の一人として強く要望いたします。