スクールアシスタントについて(2019年3月一般質問より)

現在の市立小中学校には、学習面で支援が必要な子どもたちがたくさんいます。通常の学級に在籍する支援を必要とする児童生徒の割合は、小学校11.1%、中学校12.2%、全体では11.8%にも上ります。ひとクラスに4人はいる計算になります。1000人規模の学校なら、100人を超えます。これらの子どもたちを個別に指導しているのが、スクールアシスタントです。大和市では、普通規模の学校に1人、大規模校では2人のアシスタントが活動しています。現状の課題とこれからについて特別支援推進事業についてという題で質問しました。

以下、質問文と答弁です。
中項目1 特別支援推進事業の目的について

学習とは、今まで知らなかった新しいことを学ぶことだと私は思っています。子どもたちは、生活の中でも学校でも日々、新しいことを経験しています。子どもの1年が大人よりも長いと感じられるのは、日々新しいことに接して新鮮な驚きを感じているからだとテレビでチコちゃんも言っていました。

小学校に入り、数の不思議や生き物の生長について知ること、字を覚え、本を読めるようになり、日々新しいことを知っていく。学習は、新鮮な驚きに満ちた楽しいものであるはずです。小中学校の先生たちは、子どもたちにその喜びを与えるため、日々努力されていることと思います。

しかし、楽しいはずの学習も意味が理解できず、わからないまま授業が進んでしまうと、とたんにつまらないものになります。理解とは、「そうか、そういうことか」と納得することです。例えば小学校2年生で習う九々。2×3というのは、2+2+2、つまり2を3回たしていることだとしっかり認識しているのと、ニサンガロクとただ記憶するのとでは、意味がまるきり違います。意味を理解していない子どもに「ああ、そうか」と知る喜びを与えること、それが教育です。

学校には、友だち同士の遊びや給食や行事など、子どもたちにとってのたくさんの楽しみがあります。しかし、その中心は授業です。それがおもしろくないと、学校が嫌になり、不登校の原因にもなります。

そこで、学習に困難を覚える子どもたちへの「きめ細やかな支援」が必要となります。

教育長に伺います。

きめ細やかな支援のために現在、本市は「特別支援推進事業」を行っています。その目的には、「特別支援教育の充実を図る」とありますが、充実とは、どのようなことと、とらえているのでしょうか。

答弁(教育長)

平成19年に日本が署名した障害者の権利に関する条約では、障害のある子供が自分の力を最大限に伸ばし、社会参加することを目的とし、障害のある子供と障害のない子供ができる限りともに学ぶ仕組みであるインクルーシブ教育の理念が提唱され、通常の学級に在籍して支援を必要とする子供も対象に、一人一人の特性に応じた適切な支援が求められるようになりました。  これを受けて教育委員会では、一人一人の特性や教育的ニーズに応じて切れ目のないきめ細かやかな支援により、自立や社会参加に向けた個性と能力を伸長することができるようになることを目的とし、特別支援教育推進事業を実施しております。具体的な施策といたしましては、スクールアシスタントや特別支援教育ヘルパーの増員、言葉や聞こえに課題のある子供が通うことばの教室の増設、医療的ケアの必要な子供への看護師の配置、専門的な指導や助言を行う巡回相談チームの学校派遣の充実などを行ってまいりました。  一方近年では、特別支援学級に在籍している子供や通常の学級に在籍して支援が必要な子供が増加傾向にあるとともに、教育的ニーズの幅も広がっており、支援の質を一層充実することが早急に求められております。特別支援教育推進事業のより一層の充実のためには、これまでの支援体制に加えて、より積極的で充実した新たな支援体制の構築が必要であることから、学校と深くつながり、切れ目のない支援を推進する総合的な施設として、政令指定都市を除けば県内初となる大和市特別支援教育センターを設立することといたしました。  センターでは、通常の学級に在籍して情緒や行動等に課題のある児童生徒の通う通級指導教室を中核として位置づけ、専門的な立場から相談、支援、研修などを実施していくことで、より一層の支援の充実が図られると考えており、将来支援の必要な子供たちがさまざまな人々と交流し、主体的に社会参加しながら、心豊かに生きていくことができるよう積極的に取り組んでまいりますので、お力添えをいただきますようお願いいたします。

中項目2 通常の学級の支援について

「特別支援教育推進事業」の中で通常の学級に対しては、「特別支援教育スクールアシスタントを配置し、大和市特別支援教育巡回相談チームを各学校の要請を受け、派遣する」こととされています。本市は特別支援推進事業の一環として全小中学校にスクールアシスタントを配置しています。700人以上の大規模校は2人配置。28校で36人のスクールアシスタントが活動しています。これ以降は、スクールアシスタントを略してSAと呼びます。SAが関わる対象は、通常の学級に在籍する学習障害(LD)や注意欠陥多動性障がい(ADHD)の児童生徒です。その他にも、通常の学級には特別支援学級に在籍していない自閉症スペクトラムの子どもも在籍しているため、支援の対象となります。診断がついている児童生徒ばかりではないため、授業を受けるのに支援が必要だと思われる子ども全てが対象になります。SAの応募資格は、小中学校の教員免許を持っていることですが、特別支援教育の研修等を大学等で充分に受けているとは限りません。

通常の学級に在籍するLDの児童生徒などは基本的には全般的な知的発達に遅れはないため、支援が上手くいくならば学力向上を望むことができます。自閉症スペクトラムの児童生徒なら、興味がある方向に導くことで、学力向上が期待できます。また、ADHDの児童生徒なら、集中力を高めるために適切な環境で、特性に合った教材等を使うことにより、勉強への興味を掻き立てることも可能です。

学習に困難を抱える児童生徒に対する「きめ細やかな支援」とは、次のようなものだと私は思っています。

・まず、支援を必要とする子どもの障がいなどによる特性が充分に把握されていること。

・学校内に特別支援教育に対する豊富な知識とスキルを持った専門の責任者がおり、充分な研修を受け、特別支援教育に理解のある担任と一緒に子どもの特性に合った支援計画を立てる。

・主に担任が支援計画に則り指導に当たり、SAの支援が必要な場合には、SAに適切な指示を与え支援する。

・SAは、支援する子どもの特性の知識を持ち、具体的な支援方法等について充分な研修を行っており、担任と相談しながら、その子どもに最適な支援を行う。

これらがうまく機能すれば、担任の指導やSAの支援により、子どもが学習の喜びを知り、学力向上や楽しい学校生活を送ることが可能になると期待されます。SAの人数は、必要な子どもが必要な時に支援を受けられるだけいることが理想です。

支援が必要な子どもたちに係る全ての人たちが、障がいを原因とするその子どもの特性を知ることは、非常に重要です。「ああ、こういう特性があるからこの子はこういう行動をするんだ」と納得でき、「ではどうすれば興味を持ってくれるんだろう」と考え、支援計画をつくるのと、ただやみくもに、できないから繰り返し練習させようとするのとでは、学習効果に大きな差が出ます。私たち大人もそうですが、興味のないことを強要されることほどの苦痛はありません。子どもにとっては、対応の違いが、その後の学校生活や人生に大きく関わります。

本市の状況をお聞きします。

1、小中学校の通常の学級において、「きめ細やかな支援」が必要な児童生徒の割合をお答えください。

2、LD等の障がいは、学習に困難を覚えてはじめて気づかれることも多いと思いますが、支援方法を検討するために必要な検査や診断を受けている児童は、どれほどの割合でしょうか。

3、学校内に特別支援教育に対する豊富な知識とスキルを持った専門の責任者はいますか。どのような職務を担い、何を行っていますか。

4、担任は、特別支援教育に関してどのような研修を受けていますか。

5、診断等を受けていない子どもの特性について、誰がどのようにアセスメントを行い、支援計画を立てていますか。

6、各学校では、「きめ細やかな支援」が必要な児童生徒に対し、担任とSAがどのように連携していますか。

7、現場のニーズに合わせるためには、支援者のスキルを上げる必要があり、特性の知識理解から具体的な実技まで、さまざまな研修が必要です。SAが行っている研修とはどのようなものですか。LD,ADHD等、関わる児童生徒に対応できるだけの充分な知識を得、実技指導を受けられる質と時間が確保されているでしょうか。

8、きめ細やかな支援を行うためには、教材の工夫も必要です。特にSAの支援が必要な児童生徒たちには視覚的に訴えることにより効果があがることがわかっています。教材の購入、学校内のカラーコピーの使用などSAが必要と思われるものを手に入れる環境は整っているのでしょうか。

答弁(教育部長) 1、2一括

平成30年度の通常の学級に在籍する支援を必要とする児童生徒の割合は、小学校11.1%、中学校12.2%、全体では11.8%、また通常の学級に在籍していて診断を受けている児童生徒の割合は、小学校1.7%、中学校2.3%、全体では1.9%となっております。 3、学校では、教育相談コーディネーターや児童支援中核教諭が特別支援教育の中心を担い、必要に応じて心理や福祉などの専門家や関係機関と連携しながら、具体的な支援や今後の方向性を検討しております。 4、通常の学級の担任に対しては、県による特別支援教育に関する研修会のほか、教育委員会でも初任者研修において、障害特性の理解や支援方法をテーマにした講義を行っているほか、夏季休業期間中に特別支援教育推進研修会を1日の日程で行っております。 5、教育委員会では、行動観察などを通して対象児童生徒へのアセスメントや支援方法を助言するため、臨床心理士、県立特別支援学校教諭等で構成された特別支援教育巡回相談チームを学校に派遣しております。 6、スクールアシスタントの役割等については各学校の状況に応じて校内支援委員会で決めており、それに基づき、スクールアシスタントは学級担任とのチームティーチングによる指導や、必要に応じた個別の指導を行っております。 7、スクールアシスタントには年2回、1回2時間の研修を行っており、年度当初には役割や学校職員としての心構えをテーマとした研修を、2回目は専門性の高い外部講師の講義を行っており、希望に応じて教員対象の研修にも参加できるよう配慮しております。また、新任の場合は年度当初に実地研修を行い、指導形態や指導方法、教育相談コーディネーターや学級担任との連携などについて学んでおります。 8、学校では、スクールアシスタントに必要な教材、教具を教職員と相談の上で購入するとともに、教材の作成の際には印刷機等の備品も活用できる環境にあります。

(答弁後)

教育長は、特別支援教育推進事業の目的は、子どもたちが様々な人々と交流し、主体的に社会参加しながら心豊かに生きて行くためにあると、お答えくださいました。目的を達するために、今後も努力していただきたいと思います。

また、きめ細やかな支援が必要な児童生徒は、通常の学級に11.8%いることがわかりました。40人学級なら4.7人という計算になります。1000人の学校なら118人です。大変な割合です。ご答弁を計算しなおすと、そのうち診断を受けている児童生徒は16%です。支援が必要な子どもの84%が診断を受けていないということになります。この子にはこのような特性があると、はっきりわからないままで、きちんとした支援計画がたてられるのか、疑問です。専門家から構成される巡回相談チームの存在と役割は大きなものと思いますが、やはり子どもたちを毎日見ている学級担任が充分な支援計画を作れるだけの研修が必要です。

その研修は初任者研修で1回1時間、その後は、夏季休業中に1日日程の研修があるとのことですが、夏季の研修はすべての教職員が参加しているわけではありません。SAの研修も行っているようですが、年に2回各2時間だけです。SAが教職員対象の研修に参加できるとは言っても、その間、時給が出るわけではありません。しかも、人数は学校に1人から2人です。単純に計算するならば、1000人規模の学校ならふたりのSAで118人を担当しているということになります。しかも週3日の勤務です。子どもたちは、毎日5時間も6時間も授業を受けています。現状の体制で果たして「きめ細やかな支援」ができるのでしょうか?

中項目3 今後の対応について

センターの開設に関して

本年4月から、旧林間学習センターの跡地に「大和市特別支援教育センター」が開設されます。通常の学級に在籍する支援の必要な児童生徒やその保護者に対する専門的な支援を行う施設とのことです。今回の質問に関連して、この施設の開設によって期待したいことが3つあります。

1つは、通常の学級に在籍しておりSAの支援が必要であるにもかかわらず、専門機関での検査を受けていない児童生徒とその保護者に対し、気軽に相談に応じる機関を設けることで、検査に対するハードルを下げ、個々の特性を知り、支援に活かすことができるようになることです。

2つ目は、センターと連携することにより、個に合った適切な計画が立てられ、支援が充分に行えるようになることです。

3つ目は、教職員が支援の必要な子どものアセスメントを行うことや支援計画を立てることができるよう、特別支援教育に対する質、量とも充分な研修を行えるようになることです。質問します。

1、「大和市特別支援教育センター」は、この3つの機能を備えた施設となるのでしょうか。

答弁(教育部長)

大和市特別支援教育センターは、切れ目のない支援を推進し、学校と深いつながりを持った拠点的な施設であり、情緒や行動等に課題のある児童生徒の通級指導教室、特別支援学級に在籍する不登校児童生徒の通室場所、支援の必要な保護者、児童生徒からのさまざまな相談への支援、教職員の研修室という4つの機能を備えております。

 

ここで、明星(めいせい)大学教育学部 星山麻木(ほしやまあさぎ) 教授 の言葉を紹介します。「特別支援教育は、人間理解の教育です。障がいのあるなしに関わらず、 誰もがごく自然に相手が困っている時、 そっとサポートしあえる子ども、先生、保護者が増えたら、どんなにあたたかで生きやすい地域になることでしょうか。人はみな自分中心に物事を考えます。ですから自分と違う環境に育った子ども、自分と違う見え方や聞こえ方の子どもを 理解し、良き通訳者になることは、そう簡単なことではありません。 だからこそ子どもの心に寄り添い、先生や保護者の方との心のかけ橋になる役割を担う人材が いま学校でも地域でも、最も求められているのではないでしょうか。」というものです。

星山先生は、八王子市の学校サポーター養成講座の特別講師を務めておられる方です。
八王子市は、 東京都唯一の中核都市で、人口は本市の2.4倍、児童生徒数も約2.4倍の規模の市です。面積が186.38k㎡で本市の約6.9倍ですので、学校数は多く、小学校70校、中学校は38校あります。

大和市のスクールアシスタントに当たる仕事は、学校サポーターと呼ばれる方たちが担っています。サポーターは、有償ボランティアで、18歳以上で特別支援教育に理解がある人たちが主な登録者です。教員免許を持っている人は少ないそうです。平成29年度の登録者数は、561人です。そして、活動者数も同じく561人。つまり、すべての登録者が活動しています。大和市の規模に換算してみますと、234人のSAがいる計算になります。本市の約6.5倍です。ほとんどの方がやめずに続けていることから分かるように、先に述べた言葉を実践している、世の中の役に立っていることが実感できるやりがいのある仕事だとのことです。また、教職員たちは、学校サポーターを頼りにして、安心して子どもたちの支援をお願いしているとのことです。支援の必要な子どもたちにとってより良い環境であると言えるでしょう。

サポーターの方たちの自信をつけ、その機能が充分に発揮されている大きな要因に「サポーター養成講座」があります。先ほど述べた星山先生の言葉は、サポーター養成講座のテキストから抜粋したものです。

理念があり、研修があり、実践があります。

初級講座は6回、中級講座は3回で、各2時間です。初級は発達障害の理解や学校との係わり方、具体的な事例と支援の方法を6回に分けて研修します。ベテランのサポーターによる子どもや先生とどうかかわるのかなどのアドバイスも受けられます。

本市のSAの方々も、このように研修制度が充実していたならば、支援の方法も具体化でき、子どもたちにとってより良い支援を望むことができるのではないでしょうか。

質問

2、本市のSAに対する現状の研修で、児童生徒に対し、充分な支援ができているかどうか、SAの方たちはどう感じているのか、教育委員会で調査すべきと考えますが、いかがでしょうか。

3、SAの充足度など、学校の要望としてどのようなものがあるか、調査すべきと考えますが、いかがでしょうか。

4、八王子市の「サポーター養成講座」のような、より充実した研修を本市のSAに対しても取り入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。

答弁(教育部長)1,2

特別支援教育センター開設に伴い、外部から専門性のある講師を招いての研修を積極的に行うなど、今まで以上に研修体制の充実を図ってまいります。研修内容につきましては、学期ごとにスクールアシスタントから提出される報告書や、スクールアシスタントの研修会での情報共有の内容も参考にしてまいります。 3、常の学級に在籍する支援が必要な児童生徒は増加傾向にあり、教育委員会ではその支援の拠点となる施設として特別支援教育センターを開設するものであり、新たな支援体制を運営する中で、スクールアシスタントの役割等についても検討していきたいと考えており、現時点では学校への調査の予定はございません。

(答弁後要望等)

まず、今まで以上に研修体制の充実を図っていくというご答弁に、今後を期待いたします。これから新しい体制になる今の時点では、不透明なこともあるかと思いますが、新しい大和市特別支援教育センターが、子どもたちが学習に喜びを見出し、楽しい学校生活を送ることができ、教育長のおっしゃるように心豊かに生きていく一助となることを期待いたします。また、SAの人数は、どう考えても、もっと必要です。八王子の例なども参考に、体制のより一層の充実を要望いたします。

最後に、中項目2の8の質問、SAの指導のための教材、教具等の準備についてですが、この質問をしたのは、SAが子どものために必要な教材等を用意することができていないというご意見をいただいたからです。ご答弁では、備品等を活用できる環境にあるとのことでした。どうか教育委員会から各学校に周知徹底していただき、きめ細やかな支援が必要な子どもたちの学習環境が、今よりも改善されるよう強く要望します。