香害について(2019年6月一般質問より)

2019年7月28日 14時26分 | カテゴリー: 活動報告

新たな公害と言われる「香害」という言葉をご存知でしょうか。6月にはシャボン玉石けんが大きく新聞広告を載せました。
柔軟剤や消臭剤などに含まれる香りの成分、化学物質によって周りの人を不快にさせたり、体調に影響を与えたりすることが知られてきました。意識しないうちに誰もが加害者になる可能性があります。
6月の一般質問では、この「香害」について取り上げました。
この質問により、大和市は外国語表記を含めた新たなポスターを作成し、より多くの公共施設に掲示することになりました。
また、持ちまわりで洗濯している小中学校の給食の白衣についている柔軟剤の匂いが気になるという市民の意見を受け、自前のエプロンの使用について質問しましたが、このことについても市は保護者や学校側の意見も踏まえ検討していく旨、答えています。

 

中項目1 化学物質過敏症と香害について190605_香害広告_毎日新聞朝刊全国のサムネイル

2017年9月に引き続いて化学物質過敏症および最近広く知られるようになってきた香害について取り上げます。
まず化学物質物質過敏症についておさらいします。化学物質過敏症とは、わずかな化学物質でも取り込むとめまいや鼻血、耳鳴り、吐き気、せき、じんま疹、頭痛、かゆみなどさまざまな症状が出る病気で、2009年に病名として登録されています。化学物質を一度に大量に取り入れたり、長期間取り込み続けることによって発症するとされていますが、その許容量は人によって違います。一旦過敏症になってしまうと、その後は次第にさまざまな物質に少量でも反応するようになります。完治は難しく、生活によほど工夫を凝らさない限り、悪化の一歩を辿ります。家族にもなかなか理解してもらえず、精神的に追い詰められる方もいます。

前回の質問後、議会報告を作り配布したところ、化学物質過敏症の市民の方から、この病気について理解している議員がいることが精神的助けになったと、議会報告会に足を運び、その思いを聞かせてくださいました。以前の質問で、図書館の図書消毒器導入について問題がある旨申し上げましたが、その方は消毒した本にはさわれないと言っていました。してある本かそうでないか、すぐわかるそうです。化学物質過敏症は現代ならではの病気です。発症を予防するためには、社会全体がこの問題に取り組んでいくことが必要です。前回の質問の答弁では、市民経済部長が「化学物質過敏症は、殺虫剤や芳香剤など身近なものが原因であるために、周りの人に理解されにくい面があることから、その存在を含めて周知していくことが必要である」と答弁されています。

過敏症とまではいかないまでも、不快に感じる人が多いということで、最近は「香害」という言葉が、周知されるようになってきました。
「香害」とは、柔軟仕上げ剤や合成洗剤、ヘアケア剤、消臭除菌剤など人工的に作られた過剰な香りに含まれる化学物質によりめまいや吐き気、思考力の低下などの症状を誘発する新たな「公害」です。

6月5日シャボン玉石けんの意見広告が朝日新聞、毎日新聞に大きく載りました。「日本に新しい公害が生まれています」と書かれているもので、去年も同じ広告が出ています。(上記写真です)

「1人ひとりが香りに配慮したり、洗浄剤の成分を見直すことは、SDGsの目標3、12、14などへの貢献につながります。」とも書かれています。SDGsの目標3、12、14の目標とは、
3:全ての人に健康と福祉を
12:作る責任使う責任
14:海の豊かさを守ろう   です。

この宣伝に対し、よくぞ言ってくれたと歓迎する声がネット上でも上がっています。
香りの強い柔軟剤が多く使用されるに従い、その匂いに困っている人もまた増えています。それを契機に化学物質過敏症を発症する人も増え続けています。

その一方で、柔軟剤は相変わらず人気です。
【洗濯ハカセが教える】柔軟剤の最強おすすめ人気ランキング15選というサイトでは、洗濯ハカセ、神崎 健輔さんのコメントとして次のような文が載っています。
「柔軟剤の主な効果は、なんといっても「洗濯物をフワフワに柔らかく仕上げられる」ということ。布をなめらかにする成分が繊維に行きわたり表面をコーティングすることで、ふんわりとした手触りに仕上げることができます。 最近ではそれ以外にも、洗濯物を良い香りに仕上げることにこだわった商品や、汗やタバコなどの嫌なにおいを消臭・防臭してくれる効果を持った商品も。柔軟剤を正しく選べば、日常のさまざまな悩み解消に役立ちますよ。
好きな柔軟剤を見つけることができれば毎日のお洗濯が楽しくなるばかりでなく、着ている間も嬉しい気持ちにしてくれますね。」
多くの方が、このような効果を期待して柔軟剤を使用しているものと思われます。

一方、このハカセは、次のような文も載せています。
「柔軟剤の良い香りをつけるために、定められた容量の2倍もの量を入れる人が多いということが洗剤メーカーの調査結果により分かっています。容量の2倍も柔軟剤を入れてしまうと、自分が思っている以上に強烈な匂いを発してしまい、スメルハラスメントになってしまいます。」

また、「ピントルの柔軟剤専門ページ」というサイトでは、その喜ばれる効果と共に次のような文も載っています。「神奈川県が2011年に、国内外の柔軟剤15点を洗濯に使用する時の濃度に薄めて香りの強さと調べたところ、ほとんどの商品が、香りの強さを示す臭気指数が、県が定める住宅地での工場排水の規制値程度だったとされています。スメルハラスメントや香害という言葉が出てくるほど、柔軟剤の香りが苦手な人がいることを理解しておきましょう。」というものです。
柔軟剤を展開している業界団体の調査では、柔軟剤を利用している人の4人に1人未満が規定量の2倍以上の柔軟剤を使用しているという結果が出ています。

匂いは麻痺性がありますから、よい香りを求めて、使用量が増していく人が増えていくと考えられます。みなさんも部屋に入ってきただけでわかるほど、柔軟剤の香りをまとっている人に遭遇したことがあるのではないでしょうか。国民生活センターは過去に会見で「柔軟剤のにおいについては、においの強さの感じ方には個人差がある。使用量が過度にならないよう、配慮する必要性がある。」という消費者に向けて異例の呼びかけを行っています。

つまり、辛いという声が多いということです。

シャボン玉石けんは、広告と共にHP上で独自に行ったアンケート結果を載せています。
20代から50代の女性を対象にして「香り付き洗濯洗剤に関する調査」 (WEB調査、調査期間:2016年4月22日~28日、サンプル数:415人)

・あなたは香り付きの洗濯洗剤を使用していますか? 使用している88%
・人工的な香りを嗅いで、頭痛、めまい、 吐き気などの体調不良を起こす「香害」が 問題になっているのを聞いたことはありますか?  知っている51%
・人工的な香料のニオイで、頭痛、めまい、吐き気、関節痛など体調不良になったことはありますか? ある59%

柔軟剤の香りで体調不良になることもありながら、多くの人は柔軟剤を使っていることがわかります。自分の匂いは気にならなくても、他人の匂いは気になるということでしょうか。

昨年、神奈川ネットでも同様の調査を行いました。回答者数1,829
・お店や車内で「香り」について不快な思いをしたことがありますか? ある82%

体調不良とまではいかなくとも、不快な思いをしたという人が多いことがわかります。ただ、神奈川ネットの調査対象は、石けん使用者が多いので不快に思う割合が高くなっているかもしれません。

2017年niftyニュース編集部が行った他人の服の洗剤柔軟剤の香りを不快に感じたことがあるかについてのアンケートは、総合では「不快に感じる」が33.5%、「不快に感じない」が66.5%と、「不快に感じない」が多いものの、3人に1人は不快に感じる人がいるという結果を載せています。男女別の結果も出ており、女性では47.6%の人が不快に感じると回答しています。
(アンケート実施日時:2017年09月22日~2017年09月28日/有効回答数:2,714)

各アンケートでは、その結果にばらつきがあるものの、不快に思う、あるいはそれによって体調を崩したことがある人が一定の数、いることがわかります。

(質問)

以前の一般質問後、取り組んだことは何でしょうか。

中項目2 より一層の周知について

前回の一般質問後、大和市のHP上で「化学物質過敏症」と検索すると、やまとんの絵入りで注意喚起が載せられ、ポスターは、質問後しばらくは学習センターなどに貼られているのを見ました。しかし、今はほとんどない状態です。保健福祉センターにもありません。現在は、とても市民に対して注意喚起しているとはいえない状況であると思います。

静岡県湖西市では、注意喚起のポスターをエレベーター内に掲示し、市民の目につきやすくしている。同時に外国語のポスターも作成しています。

エレべーターやトイレなどの狭い空間は、人が最も匂いに敏感になる場所です。掲示をするなら、このような場所に掲示してこそ効果が発揮されるのではないでしょうか。

(質問)
ポスターを市民の目につきやすい場所に掲示したり、外国の人にも市の取り組みを知らせる工夫をすべきではないでしょうか。

 

1、2 一括答弁 市民経済部長
市民向けの化学物質過敏症の周知として平成28年7月からHPに掲載し、本庁舎及び市内7か所に啓発用ポスターを掲示しました。市職員に対しては、毎月発行する職員向けの健康便りを発行し、平成29年10月号から12月号の3号にわたって化学物質過敏症について周知を図りました。今後も引き続きポスター等を活用し、市民のみなさまへの周知に努めます。

 

中項目2  学校での対応、給食白衣について

柔軟剤や合成洗剤の使用については、基本的に個人の自由です。ですから、自治体は健康被害に遭わないよう過剰な使用に対して注意喚起することや、まわりへの配慮を求めることしかできません。しかし、他人の家で洗濯したものを着る機会が、市内で子どもたちの間では存在します。
ひとつは、保育園や幼稚園、学校などで子どもたちが衣服を汚してしまった場合などに備えて貸し出しをしている衣服です。
もう一つは、小中学校で使用している給食の白衣です。ここでは、白衣について述べます。

給食は、言うまでもなく食事の時間です。昼休みが近くなると、自校式の給食では献立の匂いが教室まで届き、児童たちの食欲が刺激されます。私もこの歳になっても、当時の浮き浮きした気持ちを思い出すことができます。食事の匂いは、その味覚と共に子どもたちの食育を育む重要なもののひとつです。

現在、白衣は給食当番が着用し、1週間後家で洗濯して次の当番に回すのが一般的であると思います。前の週の給食当番の子どもの家で、強い香りを放つ柔軟剤を使っていた場合、その次に使う子どもは、給食の時間中、1週間、その白衣を使うことになります。匂いに対して過敏な子どもの場合は、それによって体調を崩すことも考えられます。しかも、強い香りは食事の妨げにもなります。子どもたちが食事の匂いと味を堪能するためには、柔軟剤等の香りが妨げになることは避けるべきです。

強い香りの洗剤や柔軟剤を使った衣服は、なかなかその匂いは消えません。使用後でもいっしょに洗うとその香りが他の洗濯ものに移ってしまうこともあります。そのため、小中学校の保護者の中には、子どもが持ってきた白衣は自分の家の洗濯と別にして洗うという方もいます。白衣は、学校の持ち物です。匂いに敏感な子どもや家庭があることを周知し、その洗濯に柔軟剤を使わないよう理解を求めることは、可能なのではないでしょうか。

また、中には、柔軟剤だけではなく、合成洗剤の匂いも気になる人もいます。自分の子どもに柔軟剤や合成洗剤の匂いのついた衣服を着せたくないという市民の方のご意見を伺っています。

(質問)
1、白衣などの洗濯には、柔軟剤の使用を控えるよう、保護者にお願いすべきべきであると思うがいかがでしょうか。

2、希望者には、白衣ではなく、自分のエプロンを使うことを許すなど、給食係の衣服について選択の余地を与えた方がよいと考えますがいかがでしょうか。

 

(答弁)教育部長
1、白衣などの洗濯にあたりましては、現在、各家庭にご負担をお願いしているところでございますが、柔軟剤の使用にあたりましては、市民への周知と同様に保護者の負担とならない範囲で児童生徒への健康への影響がないよう学校と協議の上、適切な周知に努めてまいります。

 2、給食の配膳にあたる児童生徒の衣服につきましては、誰もが清潔で衛生的に給食の配膳が行えるよう同一の白衣を学校において準備し、各学級で管理を行っておりますが、給食係の衣服に選択の余地を与えるかにつきましては、学校や保護者のご意見もうかがいながら、検討してまいります。

 

答弁後の要望

柔軟剤などの香りについては、その感じ方は人それぞれであり、その健康被害については科学的見地がなされていないとして厚生労働省も現在対策を考えていない状況です。テレビでの宣伝で繰り返し放映されているように、一日中続くいい香り、との認識しかない人には、なぜこれが嫌なのかと理解できないかもしれません。柔軟剤の香りが嫌だと思われる方はこの議場にもきっとおられることと思いますが、そうでない方はこの香りをたばこの煙と置き換えていただくと、不快な方や気分が悪くなる方の気持ちがわかりやすいのではないでしょうか。例えば職場で、隣の人がずっとたばこを吸い続け、受動喫煙をしている状況です。敏感な人は気分が悪くなり、化学物質過敏症の人はその場にいることはできません。

ご答弁では、ポスター等を活用し、引き続き市民への周知に努めてくださるとのこと、ありがとうございます。ポスターも外国語表示を含めた新しいものを作成予定とのことで、出来上がりが楽しみです。私たち神奈川ネットでも昨年、独自にポスターを作成し、関係するNPOなどに配布しています。今日配布した資料の裏面にありますので、作成の参考にしていただけたらと思います。また、表面のシャボン玉石けんの広告にはQRコードがついています。アンケート結果や事例集、また化学物質過敏症についてのムービーにつながります。5分ほどのものですので、ぜひ見て、知識を増やしてください。誰もが当事者になりうる可能性があることがわかっていただけると思います。

給食の白衣についても、検討いただけるとのことです。新しく作るポスターを学校にも配布し理解を求めるなど、学校の協力が少しでも得られるよう対策を要望します。(右図は、大和市が新しく作ったポスターです)化学物質過敏症のサムネイル

下記、「シャボン玉石けんポスター」をクリックすると、新聞に全面で広告されたポスターをご覧いただけます。QRコードにより、アンケート結果や化学物質過敏症についてのムービーなどがご覧いただけます。

シャボン玉石けんポスター