海外友好都市交流事業について(2019年9月一般質問より)

日韓の関係悪化に伴い、大和市の韓国光明市との交流事業がこの夏、取りやめになりました。9月の一般質問では、その経過について質問し、草の根交流の大切さをのべました。

以下、質問の内容と答弁です。

日本と韓国、国レベルでの関係が悪化しています。それはさまざまな自治体の交流にも影響を及ぼしています。神奈川県内では友好交流都市として神奈川県と京畿道、川崎市と富川市、藤沢市と保寧市、秦野市と坡州市、厚木市と軍浦市、湯河原町と忠州市、そして、本市と光明市が交流を行っています。その中で7月、藤沢市と大和市で青少年訪問団などが派遣取りやめとなり、川崎と交流のある富川市での中学生サッカー親善試合が延期になりました。県でも日本、中国、韓国で行っている青少年スポーツ交流事業で、京畿道の高校生が来日を取りやめました。10月に予定されていた韓国議員団の来県も取りやめになったということです。その一方、厚木市や秦野市では、人数の縮小などの変更はありながらも、この夏の交流を行うことができています。

本市の交流事業は、本年、2019年度は、光明市からの青少年が大和を訪問予定でしたが、光明市からの申し出により、派遣団来日が取りやめとなりました。タウンニュース7月26日号には、交流事業などを推進する大和国際親善委員会会長の、とても残念というコメントが載っています。

2017年、我が家にも友好交流事業で光明市の大学生が宿泊したことがあります。身振り手振りで会話したことや、どんな食事を出せばいいか、何をお土産に持たせればいいのか悩んだこと、滞在に対する感謝の言葉に感激したことなど、いい思い出になっています。ですから、今回の取りやめはとても残念です。この事業のこれまでの経緯や意義について伺います。

 質問

1、国際友好都市提携に係る経緯について、

2、海外都市との友好交流の意義について、市長のお考えをお聞かせください。

3、これまでの実績について、

4、光明市の青少年訪問団の派遣取りやめに伴う市民等の反応についてお答えください。

答弁

市長:2点目、海外都市との友好交流の意義についてお答えします。
 海外都市との友好都市提携は、教育、文化、スポーツ、経済、産業など幅広い分野での交流が進展することにより、市民相互の理解と友好が深まり、国際社会の平和と発展に貢献することが期待できると考えます。大和市と光明市は、両市の繁栄と平和を願い、平成21年に友好都市を提携し、主に文化や青少年などの分野において、これまで10年にわたり、相互に訪問し、交流を重ねるなど、友好関係を深めてまいりました。中でも青少年相互訪問事業は、互いの文化や生活習慣を理解し、活動できる豊かな国際感覚を持った人材育成などに効果があると認識しております。グローバル化の中にあって、市民が世界に目を向けて国際交流を行うことは大変重要な取り組みであると考えております。

文化スポーツ部長:1点目、海外友好都市提携に係る経緯についてお答えいたします。

 平成20年当時、本市は、海外の都市との定期的交流を行っていなかったことから、市民、特に子供たちが海外の文化に触れる機会を創出するため、友好都市について調査を行ってまいりました。そのような状況の中、神奈川県が友好提携している京畿道に属し、本市と同様、大都市のベッドタウンとしての性格を有していることや、教育に力を入れていることなどから、光明市を候補として検討に入ることにいたしました。さらには、光明市の副市長が直接本市を訪問され、友好都市提携を積極的に望まれたことや、県立大和西高校が光明市の廣文高校と姉妹都市校協定を締結したこともあり、光明市と友好都市提携を行ったものです。

 3点目、これまでの実績についてお答えいたします。

 友好都市の提携においては、幅広い分野で交流を行うこととしており、この10年間で交流にかかわった双方の市民等は、合わせて300名以上となっております。このうち、青少年相互訪問事業に参加した本市の中学、高校の生徒からは、交流によって韓国へのイメージが変わった、韓国について学ぶと同時に、日本の理解を深めることができた、外国語をしっかり学びたいなどの感想がありました。

 4点目、光明市の青少年訪問団の派遣取りやめに伴う市民等の反応についてお答えいたします。

 今回、受け入れ準備が整った状況の中での光明市からの取りやめの連絡について、本市の青少年と保護者からは、理解が示されたものの、大変残念であるとの声が大半でございました。また、互いに交流してわかり合って友好を深めてもらいたい、政治は抜きにして仲よくやってもらいたいなどの市民のコメントが報道されたことを承知しております。一方、これら一連の報道を見聞きした数名の方々から、光明市との交流事業の実施について、反対の御意見もいただいております。

 

日韓の関係悪化により、自治体交流にも影響があることについて、神奈川県の黒岩知事は、7月25日の定例会見で、日韓両政府は非常に厳しい局面を迎えているが、地域間の交流は国家間の関係にかかわらず、しっかり継続していくべきだと言及しています。今回、市長が、市民が世界に目を向けて国際交流を行うことは大変重要な取り組みであると言及されたことは意義あることと思います。光明市との友好交流事業で互いの国を行き来した青少年など、両市の市民は300人を超えるとのことです。これは、職員や子供たちを受け入れた市民や、その家族などは含まない数ですので、実際にはこの何倍もの人たちがこの事業にかかわっていることになります。今回受け入れの準備をしていた市民の方たちはさぞがっかりされたことでしょう。実施について反対の意見もあるとのことですが、愛知のような脅迫まがいの事例はなかったようです。

自治体間の草の根交流とは、人と人を結び、顔の見える関係をつくり出すことです。あの国にはあの人がいる、名前を覚え、顔を思い出すことができる、たとえその後会うことはなくとも、思い出は残ります。その人の国と自分の国の関係が悪くなることを憂い、相手のことを心配する、そんな関係をつくり出すことができます。これは、その国に旅行するだけでは決してできない関係です。

日本と韓国は今、国同士で関係が悪化しています。日本への旅行者も減っています。日本製品の不買運動も起こっています。そんな中、光明市の青少年たちが大和市に来るのを控えることは大変悲しいことですが、理解もできます。

文教市民経済常任委員会の資料として全議員に配られております、光明市長から大木市長に宛てた手紙には、グローバル時代に伴ってこれからも両国の文化、経済、青少年交流を拡大させることは非常に重要な活動であること、時代が要求する力量と能力を取りそろえた世界市民としての成長を図るために必要なプログラムと認識していることを踏まえた上で、来日中止について非常に残念でなりませんと書いてあります。自治体間の交流の大切さを認識していながらの苦渋の決断だったことがうかがわれます。国際交流は韓国だけに限ったものではあるまいという御意見もあろうかと思います。しかし、隣国として歴史の中で互いにそごがある韓国の友好都市と交流することにこそ意義があると私は思います。というのも、現在、日本でも、韓国をひたすら非難し、反韓を煽る嫌韓と呼ばれる活動が盛んになっています。そんな中では、冷静に歴史を学び、相手を人として尊重するために相手を知ることが何より必要です。今、自治体レベルで交流を続けることで、友好都市交流事業は平和事業の一環として捉えられ、より意義あるものになるのだと私は思います。

ここに茨木のり子の『倚りかからず』という詩集があります。茨木のり子は、1926年2月、つまり、大正15年に生まれ、2006年に亡くなっています。有名な「わたしが一番きれいだったとき」などは、国語の教科書にも載っているようですから、知っている方も多いかと思います。この『倚りかからず』の中に、「あの人の棲む国」という詩が載っています。一部抜粋します。

あの人の棲む国
それは人肌を持っている
握手のやわらかさであり
低いトーンの声であり
梨をむいてくれた手つきであり
オンドル部屋のあたたかさである

(略)

日本語と韓国語ちゃんぽんで
過ぎこしかたをさまざまに語り
こちらのうしろめたさを救うかのように
あなたとはいい友達になれると言ってくれる
率直な物言い
楚々とした風姿

あのひとの棲む国
雪崩のような報道も ありきたりの統計も
鵜呑みにはしない
自分なりの調整が可能である
地球のあちらこちらでこういうことは起こっているだろう
それぞれの硬直した政府なんか置き去りにして
一人と一人のつきあいが
小さなつむじ風となって

電波は自由に飛びかっている
電波はすばやく飛びかっている
電波よりのろくはあるが
なにかがキャッチされ
なにかが投げ返され
外国人を見たらスパイと思え
そんなふうに教えられた
私の少女時代には
考えられもしなかったもの

まるで今書かれたかのような詩ですが、詩集は1999年に出版されています。私はこの詩のことを神奈川新聞の投書欄で知りました。88歳の方が書かれた投書です。この本は、市立図書館で借りたものですから、興味のある方はお手に取っていただければと思います。ちなみに所蔵数も5冊あります。

今後、国家間の動静が落ちつくことを強く望みますが、自治体間の国際交流は、国とは別のものです。10年続いたこの事業をどうか今後も続けていきたいと考えます。地方自治をつかさどる自治体の長である市長の決意を表明することも必要です。光明市の市長を招聘する、あるいはみずから光明市を訪問するなど、市長同士の交流も進めていただくことを要望いたします。