第6回生活困窮者自立支援全国研究交流大会に参加しました

11月3日(日)と4日(月)の両日、宮城県仙台市の東北福祉大学で行われた第6回生活困窮者自立支援全国研究交流大会に参加しました。

今回のテーマは、「困難の折り重なりに生きる人々に支援は届いているか?!(人の尊厳に根ざす)生活困窮者自立支援の価値(意義・意味)を問う」です。

3日(日)は、4つの提言とシンポジウム。「自殺対策」「共生のまち創り」「女性による女性支援」「刑余者支援」という題名で、実際に取り組んでいる方たちのお話を伺いました。

NPO法人 自殺対策支援センターライフリンク代表の清水康之さんは、自殺者の多くが、複数の連鎖で追い込まれた末に亡くなっていることを述べ、生活困窮者自立支援事業との連動の必要性を説きました。

NPO法人BONDプロジェクト代表の橘ジュンさんは、深夜に渋谷などで徘徊する女の子に声をかけ、家出少女などの話を聞く活動を行なっています。
自己肯定感が低く、社会の怖さを知らない女の子たちは、優しく声をかけてくる闇社会の大人たちに簡単に利用される危険があります。公的機関に繋がらない若者を救いながら、応援できる制度の充実を求めています。

長崎地域生活定着支援センター所長の伊豆丸剛史さんは、余刑者つまり刑務所から出所してきた人たちの支援を行っています。罪を繰り返し続ける人の中には、知的障害がある人たちがたくさん含まれています。罪を償わせるという視点からだけでなく、支援することによって犯罪抑止になり得ます。これは、最近話題の本「ケーキの切れない非行少年たち」(宮口幸次著 新潮選書)でも言及されている視点です。

社会福祉法人ゆうゆう理事長 大原祐介さんは、地域を巻き込んでの共生支援に取り組んでいます。様々な困難を抱える人たちの存在を見える化し、子どもたちと活動することを通して、共生のまち創りが価値ある仕事だということを広めています。

どの活動もそれぞれの熱い思いに支えられていますが、個人の思いだけではなく、どんな人でも断らない、狭間のない支援を社会全体に広げていく必要があります。制度は、そのためにこそあるはずです。

コメンテーターのNPO法人抱僕理事長の奥田知志さんは、支援という言葉は上から目線、支援される側も支援する側も共に育ち合う考えが必要と言われています。
支援される側にいるだけでは、人は自己肯定感を持つのが難しい。人にありがとうと言われる立場になることにより、人は元気に生きていこうと思えるようになります。大原さんは、活動の中で見つけた「ただつながることの大切さ」を述べられました。

2日目の4日(月)は、分科会1「困難にある人が「共に働く」地域づくり」と分科会10「続々・地域力「社会的孤立を生まない、住民の主体的な地域づくり」に参加しました。

第1分科会は、「変わるべきは、当事者ではなく、企業であり自治体側だったという昨年の議論から、どう変わるべきなのかを今回は深めましょう」というコーディネーターの言葉から始まり、支援団体、企業、当事者など5組が共に働くこと、共に社会をつくる活動を発表しました。
居場所づくりや就労支援を行っている「NPO法人しんせい」は、相談に繋がってもその後の対応メニューがないと支援にはつながらないと様々なメニューを作り続けています。
これは、生活困窮者自立支援事業を行っている自治体でも見習わなくてはならない姿勢です。縦割りの構造でたらいまわしにされては、次に足を向けてはもらえません。見放されたと思われない相談体制、支援体制を作り続けることが必要です。

第10分科会では、高知県佐川町の取り組みが印象的でした。まず、住民組織作りから始まり、活動拠点を作り、助け合いのしくみをつくる。そのために各地域の住民が知恵を出し合い、協働して進めていっている様子がよくわかりました。行政主導ではなく、住民自らが地域の特色をふまえ、活動に結び付けています。毎年、各地域の人たちが集まって先進市へ視察研修も行っています。そして夜は懇親会をしています。活動が進むにつれ、支援が必要だった方が援助する側に代わることもあるといいます。「人々の協調行動が活発化すると人や地域社会への信頼や期待が相互に高まってきて、排除から包摂の機運が醸成される」という言葉に未来への希望が見えた気がしました。

この大会も6回目を迎え、今年から厚生労働省の委託事業となりました。生活困窮者自立支援事業は、生活保護に至る前の最後のセーフティネットであり、ワンストップの相談窓口です。一見便利なようですが、もしその窓口で躓いたら、相談者は二度と来なくなってしまいます。事業が実のあるものになるためには、相談そのものが支援であるという視点を持ち、相手の身になって相談にのり、決して断らず、確実に必要なサービスにつなぐ決意が必要です。事業が広がるにつれ、生活に困窮している人たちの複雑に絡み合った困難が見え始めています。困窮している人を社会で孤立させないためには、自治体と住民が一体となって事業を進めていく必要があります。地域では、活動することによる喜びも生まれます。共生社会はめざすべき目標であり、この制度もその一助となるはずではありますが、道はまだまだ途上です。