GIGAスクール導入でますます危機?子どもの目の健康について(2020年12月一般質問より)

日本は1979年(昭和54年)から子どもの視力検査を行っています。今年3月に発表された文部科学省 学校保健統計調査よると、2019年度(令和元年度)の「裸眼視力 1.0 未満の者」の割合は,幼稚園 26.06%,小学校 34.57%,中学校 57.47%,高等学校 67.64%となっています。小中高で過去最高となりました。
今年から全国でGIGAスクールが始まり、一人ひとりにパソコンが導入されます。子どもの目にとっては、学校はますます過酷な環境になってきます。現在の研究では、太陽の光(日光)が、視力の低下予防に効果があるといったものがあります。また、正しい姿勢や遠くの緑を見ること、眼球運動などの行動を積極的に行うことで、目の疲れを和らげる対策もできます。子どもの目の健康のために今から予防対策を行っておくべきと考え、一般質問を行いました。

また、2018年6月に提案を行った3歳6か月眼科健診について現状を確認しました。質問を受け、市は啓発と受診勧奨を強化するなどの新たな取り組みを行っていますが、残念ながら現状では1次検査に問題が発見された子どもの2次検査や精密検査の検査率は上がってはいないことがわかりました。弱視などの目の異常は、早期に発見し治療すれば、かなりの改善が見込まれています。より発見の精度を上げる取り組みが必要です。

 

以下、質問と答弁要旨の全文です。

 

大項目 子どもの目の健康について 

中項目1 現在の状況について

今年3月に発表された文部科学省 学校保健統計調査よると、令和元年度の「裸眼視力 1.0 未満の者」の割合は,幼稚園 26.06%,小学校 34.57%,中学校 57.47%,高等学校 67.64%となっています。小中高で過去最高となりました。この「裸眼視力1.0未満の者」という調査は昭和54年度から実施していますが、当時は、幼稚園16.47%、小学校17.91%、中学校35.19%、高校53.02%でした。40年前と比べると中学校では約22%も多くなっています。

この結果に対しては、文科省補助事業の「児童生徒の健康状態サーベイランス事業」で詳細な分析を行っており、令和2年度以降,実態調査を行った上で,近視,遠視,乱視などの視力悪化の詳細を明らかにして有効な対策を検討し,視力対策用の啓発資料を作成、公開することとしていますが、調査はコロナによって遅れているようです。

世界的に見ても、近視は急増しています。これを受け、WHO=世界保健機関も「深刻な公衆衛生上の懸念」を表明し、緊急の対策の必要性を指摘しています。

目に悪いと言えば、パソコンやスマートフォンなどの使用のせいではないかとすぐに思いますが、視力の悪化は、年ごとに徐々に増え続けているので、生活全般の変化が影響しているものと思われます。しかし、GIGAスクールが始まる今年度以降は、その影響が顕著に表れてくるのではないかと危惧しています。この状況を踏まえ、子どもの目の健康についてを課題として取り上げます。

(質問)

子どもの視力の低下について、どのようにとらえているのか、市長の見解をお聞かせください。

(市長答弁要旨)

・本市では、子どもの健やかな成長を願い、心身ともに健康で活力ある生活を送ることができるよう、家庭や学校などの様々な環境に応じた健康に関する取り組みを行っている。

・子どもの視力の低下については、近年の生活環境の変化により、屋内でスマートフォンやパソコン画面などを近くで見る時間が増加し、目に負担がかかっていることが、一因であると推測される。

・現代社会のデジタル化に伴い、本市においても、全小中学校への1人1台端末の導入が始まるなど、学校や家庭においてICT機器の使用環境が急速に整備されていくなか、子どもの目の健康状態についても、十分留意する必要があると考えている。

・現在、ICT機器の長時間利用等に伴う子供の視力低下を早期発見するための対策について、教育委員会と協議しているところであり、引き続き子どもの目の健康管理に努めていく。

 

中項目2 3歳6か月児健康診査における視覚検査について

2018年6月の一般質問で、私は3歳児の眼科検診について取り上げました。大和市では、毎年約60人もの子どもが一時検査で問題が見つかっても二次検査や精密検査を受診していないことにより、異常の可能性があるにもかかわらず検査を受けていない実情が浮かび上がりました。これを受けて、2次検査や精密検査について受診の勧奨を行うなどのさらなる強化を図っていく、来年度に向けて市ができることを模索していく、と答弁されています。

1、その後、2次検査や精密検査の受診率を上げるためにどのような対策を行いましたか。

2、2017年度は2次検査を受けた3歳児は2次検査対象者の64.9%、要精密検査の判定を受けた3歳児の精密検査受診者は対象の
94.9%でした。本来、どちらも100%ならば、異常がほぼ発見できるはずです。
2019年度は新型コロナウイルス感染症の影響があるとのことですので、2018(平成30)年度の受診率をお答えください。

3、何らかの目の異常が発見される割合は、3歳児では全体の2%と言われています。3歳児健診での弱視等の有所見率は、
2018年度は何%でしょうか。

1,2,3一括答弁

・子どもの目の機能は、強い屈折異常などがあると、視力が十分に得られず弱視等になる可能性があるため、視覚の異常の早期発見、治療を目的として、3歳6か月児健康診査の際に視覚検査を実施している。

・二次検査受診率向上のため、電話による受診勧奨に加え、新たな取り組みとして、3歳6か月児健康診査のポスターに視覚検査の重要性について掲載するとともに、検診の個別通知に、二次検査、精密検査の説明を追加し、啓発と受診勧奨に努めている。また、精密検査未受診者に対する受診勧奨、追跡調査を開始した。

・平成30年度の弱視等の有所見率は3.3%だったが、二次検査受診率は65.8%、精密検査受診率は94.7%のため、今後もさらなる受診率の向上に取り組む。

 

中項目3 学校における目の健康について 

東京医科歯科大学の大野京子教授は、近視の原因についておよそ次のように述べています。

「近視になる原因は大きく2つ考えられます。それは「遺伝」と「環境」です。例えば、両親いずれも近視でない子どもに比べて、両親とも近視の子どもは近視になるリスクが高くなるという結果があります。また、性別、年齢、人種、両親の近視、屋外活動といった項目を調べた結果、子どもの生活行動でよく見られる、テレビやゲームを近くで見る、携帯やパソコン画面、本を近くで見て作業するなどの生活行動が近視の発症と大きく関係があるとわかっています。例えば、ノートをとったりする際、前かがみの姿勢になって目が近づきすぎると、その状態でピントが合うように眼球が伸びるため、近視が進みます。」とのことです。

この行動は、子どもの生活では授業中に多くとられるものです。GIGAスクールで一人1台のパソコン導入によって、子どもたちが目を酷使する状況が今後増大します。現在のところ、パソコンやスマートフォンの使用と近視の関係の調査はありませんが、これらの使用が目に良くないことは、みなさん実感しているのではないでしょうか。

平成30年9月の文部科学省初等中等教育局 教科書課に対する提言「『デジタル教科書』の効果的な活用の在り方等に対する意見について」では、日本医師会の眼科分野は、「現在の端末のディスプレイは、子供たちの視力 や脳に負担を強いるものである。また一画面しか無いディスプレイの場合、 画面上の情報量も紙媒体に到底及ばない部分がある。以上の如く端末はまだ 発展途上であり、子供たちへの適応は、試験的・限定的であるべきではないだろうか。」と述べています。

  1. 小中学校で行っている視力検診での裸眼視力1.0未満の子どもたちの視力について平成21年度から5年ごとの推移をお答えください。

    平成21年度から5年ごとの裸眼視力1.0未満の小中学生の割合は、平成21年度が36.7%、平成26年度が39.9%、令和元年度が40.8%と、増加傾向で推移している。

  2. 検査で前年より視力が低下した子どもやその保護者に対し、どのようなアプローチを行っていますか。

    裸眼視力1.0未満の児童生徒については、保護者に対して視力検査結果をお知らせし、医療機関への受診勧告を行っているところである。

前回の9月議会の布瀬議員の質問の答弁では、教育長は「教育委員会といたしましては、長時間にわたるICT機器の利用は、視力への悪影響や体験を通した学びの機会の減少につながる可能性があるものと考えており、学校と連携し、健康面への配慮や情報モラルの重要性について指導を行うことで、児童生徒が適切にICT機器を利用できるよう取り組んでまいります。」と答えておられます。

 3、子どもの目の健康に関し、学校で行っている指導について、お答えください。

 中項目4と一括で答弁(下記)

 

中項目4 子どもの目の健康のための対策について

昨年11月にはNHKのクローズアップ現代で現代人の近視が取り上げられ、話題を呼びました。その中では、日光を浴びることが近視の進行を抑制する研究について紹介されました。

日光の中には、近視の原因である眼球の伸びを抑える光であるバイオレットライトがあるという研究や、日光を浴びると眼球の伸びを抑える物質が眼球の中に生まれるという研究があります。

台湾では国を挙げて対策を行っていることが報告されました。台湾政府は近視にならないようにするには子どもの頃からの対策が重要だと考え、2011年から子どもの屋外活動を増やす取り組みを始めたとのことです。2013年には体育の授業を週150分、屋外で行うことを義務化し、そのほかの授業も、屋外での実施を推奨しています。この取り組みを始めた2011年には、視力0.8未満の小学生の割合は50%でしたが、2018年には、44.8%に低下。2001年から毎年増加し続けていた視力不良の生徒の数が大幅に減少したとのことです。

本市には「大和市子どもの外遊び条例」があります。その中には、「子どもの成長過程における外遊びの必要性及び重要性を認識し」という文言がありますが、「そとであそぼう」という啓発チラシでは、外遊びにより期待できる効果として目の健康には触れられていません。

また、メガネの世界三大産地のひとつ、福井県鯖江市では市を挙げて「眼育」を行っており、小学校の授業で目の健康体操をしているとのことです。

今後、子どもたちの目の健康は何らかの対策を施さない限り、悪化する一方となることが懸念されます。日本は目の健康に対する国の取り組みが遅れていますから、海外の事例をそのまま本市の学校で行うことは難しいとは思いますが、日光が目の健康に良いという研究があることを子どもや保護者に知らせることは可能なのではないでしょうか。これは、「外遊び条例」の主旨とも合致するはずです。保護者や子ども自身が少しでも目の健康に配慮することにより、行動も変わってくるはずです。

GIGAスクールが始まる今の機会に、今後、学校において本市の子どもたちの目の健康のために、なるべく外に出たり、授業の終わりには目の体操をするなどの具体的な対策を行っていくべきと考えますいかがでしょうか。

・目の健康に関する指導については、「目の保護デー」がある10月に、目のしくみなどを特集した「ほけんだより」の配布や、校舎内への目に関する啓発ポスターの掲示などを行っている。

・日常の指導の中で、端末を使用した授業の際には、児童生徒が画面を長時間見続けることのないよう配慮し、正しい姿勢で使用するなどの指導を行っていく。

・現在、教育委員会としては、子どもたちの目の健康を守るため、視力低下を早期発見するための対策について検討を進めているところである。

 

答弁後要望等

現在のデジタル時代、私たちの大切な器官のひとつである目への負担は大人も子どもも含めて増大しています。子どもの目の健康に関しては、市と教育委員会一丸となって取り組んでいただきたいと思います。

3歳6か月児検診に関しては、以前の質問以降、新しい取り組みなども導入していただいたご努力に感謝いたしますが、今日のご答弁によると残念ながら受診率向上にはつながっていないようです。今後も受診率向上に取り組んでいくとのことですが、まずは精密検査の未受診者がいる事は喫緊の課題です。現在も2018年6月の質問時とほぼ同じ受診率ですので、計算上約5人のお子さんが、何らかの目の異常があるにもかかわらず治療を始めていないということになります。3歳の時に検査をする意味は、その時治療を開始すれば、改善される可能性が極めて高いことが分かっているからです。次の検査である小学校就学前では、改善の可能性は低くなります。何らかの目の異常があっても子どもは生まれた時からその状態ですから、それが普通と思っていますし、ずっと生活を共にしている保護者も気づきにくいものです。検査の意義は重大です。1次検査で問題が見つかり、2次検査を受けていない約34%の中にも治療が必要なお子さんが一定数いると考えられます。治療を受けることのないまま就学すれば、目を酷使する現在の学校環境の中ではさらに悪化してしまう可能性も否定できません。1次検査は家庭内でみなさんおなじみのアルファベットのCのようなランドルト環を保護者が子どもに見せて、その結果を報告する形です。しっかり検査を行うかどうかは保護者次第です。いい加減に検査すれば、異常があっても1次検査さえパスしてしまう可能性があります。今後も検査率の向上が見られない場合は、以前ご提案した簡易スキャナーを導入するなど、より発見の精度を上げる取り組みを要望いたします。

学校での目の健康については、GIGAスクールが始まろうとしている今現在にあって、問題提起のつもりで行いました。学校では視力低下を早期発見するための対策について検討を進めているとのことですが、それに加えて、今ある研究結果を先生方に良く周知し、正しい姿勢以外にも目の運動をすることや、意識して日光を浴びること、眼球運動をしたり、遠くの緑を見るなどの視力低下を予防する対策にも力を入れていただくよう要望いたします。

GIGAスクールでは、視力以外にも電磁波の体への影響も考えられます。子どものみならず、5Gが導入される世界では、あらゆる場所に電磁波が飛び、電磁波過敏症の人はどこもいる場所がないという事態になりかねません。市長は電磁波の影響を受けた患者さんを診たことがあると伺っています。どのような症状なのか、ご存じでしょう。本市の学校で、学校に行きたくてもどこもいる場所がない子どもが生まれないよう、電磁波の影響についても教育委員会で研究を行っていただくことを要望いたします。